◆2025 JERA クライマックスシリーズ セ最終ステージ 第2戦 阪神5x―3DeNA=延長10回=(16日・甲子園

 チャンスで無心になれるのが森下の強みだ。10回無死一塁のサヨナラ2ランは素晴らしいとしか言えない。

あの場面は、ど真ん中であっても、甘い球などない。打った打者を褒めるべきだ。初球のスライダーを思い切り良く振り抜いた。器用な打者ではないというのを自覚しているのだろう。右方向に打って走者を進めようという迷いみたいなものも見えなかった。

 初回は佐藤輝の適時二塁打と大山の犠飛で、8回は佐藤輝の同点打。結局、近本、中野の1、2番でチャンスメイクし、クリーンアップで全5打点をたたき出した。シーズン通りの野球だ。

 藤川監督の采配にも執念を感じた。初戦で回またぎさせた石井、及川を同点の9、10回に投入。2人ともきっちり3人で抑えた。「絶対にこの試合で王手をかけるぞ」というベンチのメッセージだった。

8、9回に先頭打者に四球を与えたDeNAのリリーフ陣との大きな力の差があった。

 DeNAは1点リードの8回無死二、三塁で、牧の浅い右飛で追加点を奪えなかったのが響いた。4回には勝ち越しソロを放っており、あの場面で仕事ができれば調子は完全に上向いていたはずだ。阪神が一気にシリーズ進出を決める勢いだ。(スポーツ報知評論家・掛布 雅之)

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