◆米大リーグ ナ・リーグ優勝決定シリーズ第3戦 ドジャース―ブルワーズ(16日、米カリフォルニア州ロサンゼルスードジャースタジアム)
ドジャースが16日(日本時間17日)、ナ・リーグ優勝決定シリーズ(S)第3戦でブルワーズに競り勝ち、3連勝で2年連続ワールドシリーズ(WS)進出へ王手をかけた。佐々木朗希投手(23)が9回に登板し、1回を完全に抑えてポストシーズン(PS)3セーブ目をマークした。
やっと“家族”の一員になれた。2点リードの9回、ブルペンからマウンドへ駆ける佐々木を、本拠の大歓声が後押しした。「ローキ!ローキ!」。一部から発生したコールは合唱となり、球場全体に広がった。覚悟を決めた。簡単に2死を奪い、最後はダービンをスプリットで空振り三振に仕留めた。わずか13球でPS3セーブ目を挙げ、2年連続のWS進出に王手をかけた。
「いいイメージがこの球場にはそんなになかったですけど、リリーフで復帰して自分のパフォーマンスを出せるようになってから徐々に見える景色も変わってきた」。レギュラーシーズンでは、先発の3登板で0勝1敗、防御率4・38と苦しんでいたホーム。
前回登板の13日、リーグ優勝決定S第1戦では、2点差の9回に登板も1安打2四球1失点で2/3回で降板。マイナーから救援9登板目で初失点。投球フォームの微修正に取り組んだ。知らぬうちに投げ急いでいたことで「(左)足を上げる所から自分が思っているよりもゆっくり丁寧にやることだけを意識して」。最速は99・8マイル(約160・6キロ)、直球平均も98・9マイル(約159・2キロ)で前回登板から約1・4キロアップ。“突貫工事”は成功した。
投手としての矜持(きょうじ)も示した。明日なき戦いと呼ばれ、独特な重圧とも戦うPSの舞台。精神的な強さも求められるが「気持ちだけポジティブにやったところで過信になってしまう。精神的なものもすべて、試合中はすべて技術から来ると思う」と常に自分の技術に矢印を向ける。
救援でのリズムもつかんできた。ほぼ毎日、肩を作る役割ながら「後半になるまではなるべくリラックスして、試合を見るようにしている。毎回『完投してくれないかな』と願いながら、ずっと試合を見ています」と笑いを誘った。PSの3セーブは佐々木主浩(マリナーズ)に並んで日本人2位。頂点までは残り5勝が必要で、上原浩治(Rソックス)の日本人最多7セーブも視野に捉えた。
ド軍史上17度目のリーグ優勝決定Sで、全勝突破となれば史上初。MLBの7試合制のPSで3勝無敗のチームは、過去に41チーム中40チームが勝ち上がり、突破率は97・6%だ。ロバーツ監督は「決して平たん(な道のり)ではなかった。ベンチで感情をあらわにしていた映像も残っている。だけど、自分を見つめ直して必要な存在として戻ってきた」と絶賛。PSからの“緊急魔神”は日々、成長を続けている。
◆朗希に聞く ―前回落ちていた球速が上がった。
「体調面は問題なかったので。ただ、自分の気づかないところで投球フォームが多分崩れてたというか、ちょっとずれがあったと思う。そこに気づけないままマウンドに上がってしまって、スピードとコントロールが乱れたのかなと思う。前回登板から今日までの期間でピッチングコーチとも話して、うまく練習して、今日は良かったなと」
―うまく調子を戻せたのはいい経験になった。
「先発の時もですけど、毎回自分の思うようなパフォーマンスを出せるわけじゃない。いい、悪いはあると思うんで。その中でアウト3つどう取るかを考えなきゃいけないので。前回自分から相手にチャンスを与えてしまったことはすごく反省だと思いますし、いいフォームで毎回調整して、少しでも自分のボールをコントロールできるように準備しなきゃなと思ってます」
―マイナーで長い時間過ごしたり、難しい状況を乗り越えたことによる精神的な成長はどうか。
「精神的なものも全て、試合中は特に技術から来ると思うので。技術的に自分の中で信頼できるものがあれば、精神的に揺らぐことも少なくなると思いますし、しっかり技術に向き合えるかどうかがすごく大事だと思う。そういった意味では、マイナーの時もそうですけど、時間をかけて技術的なところに向き合ってやってきたので、今は復帰してから安定してパフォーマンスさせて出せてると思うので」