◆高校野球◇秋季全道大会 最終日 ▽決勝 白樺学園0-2北照(20日・大和ハウスプレミストドーム)

 下克上Vだ。決勝が行われ、北照が2―0で白樺学園を下し、13年ぶり6度目の優勝を果たした。

1回に5番・畠山柊太右翼手(2年)の右前適時打で先制すると、9回には6番・横堀倖世捕手(2年)の中前適時打で貴重な追加点を挙げた。投げてはエース右腕・島田爽介(2年)が9回6安打で完封し、全4試合連続完投でリードを守った。「史上最低のチーム」が3年生の力も借りながら急成長し、来年のセンバツ出場を確実にした。

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 “オール北照”で13年ぶりの栄冠を手にした。校歌を歌い終えると、涙を流して喜ぶ応援団に向かって喜びを爆発させた選手たち。17年の就任後、初の全道制覇となった上林弘樹監督(46)も「夏休みの状況から見たら信じられない。3年生も含めてやってきたことが結果になることがうれしいし、本当にみんな頑張ってくれた」と目を潤ませた。

 決勝も島田が先発マウンドへ。今大会で覚醒した右腕がこの日も期待に応えた。1週間で500球の球数制限まで155球という状況で決勝を迎えたが、変化球を低めに集め、打たせて取る投球で寄せ付けず。127球で2試合連続完封を成し遂げ、指揮官は「信じて良かった」とうなずいた。

 小学6年時、ヤクルトジュニアの一員としてNPBジュニアトーナメント優勝を経験している島田。

明治神宮球場で日本一の歓喜を味わった。優勝すれば明治神宮大会(11月14日開幕)の出場権を得る今大会前、当時監督を務めていた元ヤクルト・度会博文氏から、北海道で野球に打ち込む島田の元に届いたメッセージは「神宮球場に戻ってこい」。その激励を力に変え、自らの手で地元への凱旋(がいせん)切符を手にした。

  夏のベンチ入り選手は2人のみ。練習試合の戦績は15勝14敗と上林監督就任後最低勝率を記録した。「史上最低」。そう評価され、グラウンドのホワイトボードに記された目標は「打倒双葉」。例年であれば「全道優勝」「甲子園出場」と書き込まれるが、当時の現実的な目標は同地区のライバルに勝つことだった。

 それでも、夏の南大会準々決勝で北海に敗れた翌日から3年生が練習のサポートに入り、成長を後押しした。前主将の屋富祖(やふそ)駿汰(3年)は地元に帰省した期間を除き、毎日のようにグラウンドへ。大学進学後も野球を続ける予定だが自らの練習を後回しにし、時には厳しい口調で指導することもあったという。他の3年生部員も吹奏楽やチアダンスなどあらゆる形で後輩の力となり、「先輩たちがいなかったら優勝はなかった」と手代森輝斗主将(2年)。

全部員が一体となり、北海道の頂点まで駆け上がった。

 明治神宮大会、13年ぶりの出場を確実にしたセンバツと大舞台での戦いは続いていく。地区予選突破を目標に掲げたチームが全道制覇を成し遂げたように、全国1勝、日本一も夢物語ではない。上林監督は「自分たちのやれることを準備して、次に向けて頑張るだけ」。春夏通じて10度の甲子園出場を誇る強豪・北照のプライドを胸に、歩みを進めていく。(島山 知房)

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