プロ野球ドラフト会議が23日に行われる。静岡県内の高校からは4選手がプロ志望届を提出。

24年夏甲子園に出場した掛川西の石川大峨内野手(3年)は候補の一人だ。

 ドラフト会議が迫った20日、掛川西のグラウンドでは、石川が黙々とバットを振り続けていた。187センチの長身から豪快な打球を放つ右の長距離砲。2年生だった昨夏は正一塁手として、26年ぶりの夏の甲子園出場に貢献。60年ぶりとなる全国大会での1勝にも大きく貢献した。

 運命の日を前に、石川は静かに決意を語った。「自分の中でやるべきことはやってきました。力をつける中で、やっとドラフト会議の日がやってくるという気持ちです。少しの緊張はありますが、結果がどうであれ、自分にできることを続けていくだけです」と、真剣な眼差しで前を見据えた。

 3年生として迎えた今夏は、チームが県大会4回戦で敗退。石川自身は春県大会から復調を感じつつも、大会直前に左手首の関節を構成する有鉤(ゆうこう)骨を骨折した。今夏公式戦でバットを持ったのは4回戦の御殿場西戦(0●6)でのわずか1打席にとどまった。

悔しさを胸に、プロへの挑戦を目指して歩みを進めてきた。

 夏以降は、木製バットに持ち替えて練習を重ねてきた。打撃練習では、金属バットのような音は鳴らないものの、飛距離をどんどん伸ばす力強い打球を連発。本人も「今となっては、あの骨折がなかったら、自分の考え方が変わっていなかったと思います」と前向きに振り返る。

 もともと、高校通算19本塁打の長打力を武器にしていたが、以前は「パンチするように前に押し出す感覚」で、当てに行く意識が強すぎたという。骨折をきっかけに段階的に力を入れていく上で、スイングの軌道や力の入れ方を見直した。また木製バットに変えたことで、「ただ当てるだけでは飛ばない」と腕を柔らかく使うための脱力やバランスを意識するようになった。「木のバットの方が、もしかしたら自分に合っている感覚があります」と、手応えも感じている。

 石川がNPB入りを果たせば、掛川西高出身のプロ野球選手としては、立正大、セガサミーを経て2012年に横浜DeNAからドラフト4位指名を受けた赤堀大智外野手以来、8人目の快挙となる。さらに、高校から直接プロ入りとなれば、1999年に横浜から4位指名された鈴木寛樹投手以来26年ぶり。甲子園の舞台を経験した男が、今、先輩たちに続きプロの世界に挑もうとしている。

 ◆石川 大峨(いしかわ・たいが)2007年8月1日、掛川市生まれ。

18歳。東山口小2年から東山口野球少年団で野球を始め、栄川中では軟式野球部に所属。掛川西では一、三塁手。187センチ、92キロ。右投右打。家族は両親、姉、弟2人、妹。血液型はO。

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