巨人が今オフ、国内外3か所のウィンターリーグに計10選手以上を派遣することが21日、分かった。オーストラリアには石塚裕惺内野手(19)ら近未来の1軍定着が期待される4選手。

所属予定のアデレード・ジャイアンツは米フィリーズと提携していてメジャー流の指導を受けられる。台湾には将来性豊かな育成4選手、初参戦の沖縄には故障から復活を目指す金の卵も送り込み、レベル別のスリーウェーの武者修行で若手底上げを図る。

 阿部巨人が若手育成、強化のため国内外の計3か所のウィンターリーグに選手を大量派遣することが判明した。オーストラリアン・ベースボールリーグには石塚、荒巻、代木、田村の計4選手。台湾のアジアウィンターリーグには育成選手の宇都宮、相沢、吉村、黄錦豪の4選手を予定。初参戦となる沖縄のジャパンウィンターリーグにも5選手前後の参加を検討していることが明らかになった。

 オーストラリアは米マイナー2Aレベルとされ、メジャー昇格を夢見るハングリー精神あふれる選手が集結する。石塚ら4選手が所属予定のアデレード・ジャイアンツは米フィリーズと提携し、監督もフィリーズから派遣される。今季ナ・リーグ首位打者のターナーや同本塁打王のシュワバー、メジャー通算363本塁打のハーパーらスター軍団の育成メソッド、指導を受けられるメリットがある。

 石塚は1年目の今季、2軍戦で55試合、打率3割2分7厘と高い対応力を示した。9月には1軍でプロ初安打も記録。阿部監督も「近未来レギュラーを張ってもらわないといけない人だから」と話していた。

 球団では例年、高卒ルーキーのウィンターリーグ派遣はNPB2軍レベルの台湾が検討されることが多い。だが、期待値の高い石塚は異例の“飛び級”で1ランク上のオーストラリアに名を連ねた。今季1軍でプロ初本塁打を放った左の主軸候補・荒巻や、来季の1軍での活躍を目指す育成左腕・代木、育成右腕・田村と異国の地で研さんを積む。

 例年、育成選手を中心に派遣している台湾には、支配下登録を目指す育成4選手。今季イースタン・リーグで出場機会を増やした俊足内野手・宇都宮、パンチ力のある打撃が魅力の右打者・相沢、投手では変則左腕・吉村と台湾出身の左腕・黄錦豪が参加する。

 新たな試みとして注目されるのが沖縄のジャパンウィンターリーグへの巨人選手の初参戦。国内外からアピールの機会を求める選手が集まる舞台だ。明徳義塾から入団1年目の右の大砲候補、育成の竹下が打席数確保のために派遣される。

 また、沖縄には高卒1年目右腕の石田充や花田、千葉、鈴木圭ら故障からの復活を目指す若手投手数人が入れ替わりながら参加し、実戦登板することも検討中。温暖な気候、国内でG球場との移動がスムーズにできる環境面のメリットを最大限生かす。

 今季はリーグ3位に終わり、来季のV奪回には若手底上げは不可欠。近い将来1軍主力を目指すグループがオーストラリア、まずは支配下登録を目指すメンバーが台湾、主に実戦機会確保が目的の沖縄。

状況に応じた3段階の派遣でレベルアップを目指す。

 ◆過去にウィンターリーグ派遣を経て飛躍した巨人の選手

 ▽亀井善行 10年オーストラリアン・ベースボールリーグ メルボルン・エーセズで16試合に出場し、打率4割3分8厘、7本塁打、25打点。チームに欠かせない、息の長い選手となった。

 ▽岡本和真 15年アジアウィンターリーグ、16年プエルトリコウィンターリーグ 台湾では19試合で打率3割8分8厘、3本塁打、20打点で打点王。18年にブレイクし、主砲に成長。

 ▽吉川尚輝 17年アジアウィンターリーグ イースタン選抜の一員として韓国との決勝では適時三塁打を放つなど優勝に貢献。18年に92試合に出場し、レギュラーに定着した。

 ◆オーストラリアン・ベースボールリーグ 2010年に創設され、今季は11月13日に開幕。4チームが激突し、計39試合を戦う。レギュラーシーズンは来年1月18日に終了する。巨人からは創設初年度の10年に亀井、橋本到、金刃、小野らが参加。昨年は京本、山田、秋広(現ソフトバンク)の3選手が参加した。

他球団では菊池(エンゼルス)や今永(カブス)らが参加したことがある。

 ◆アジアウィンターリーグ 2012年から東アジア地域のチームが中心となって、台湾で毎年開催される冬季リーグ。今季は11月からを予定している。19年の大会を最後にコロナ禍で中断したが、23年に4年ぶりに復活。NPBから選抜チームが2チーム参加し、昨年は巨人から三塚ら11選手に加え、安藤前2軍ヘッドコーチ、野上3軍投手コーチ、吉川3軍内野守備コーチも参加した。過去にはヤクルトの山田哲人や村上宗隆、オリックス時代の吉田正尚(現Rソックス)らが参加している。

 ◆ジャパンウィンターリーグ 沖縄県で行われている日本初の本格的なウィンターリーグで、2022年に発足。2つのリーグに分かれており、プロ選手らによる「アドバンス」は出場機会が少ない選手などの成長環境を得られる機会となる。今季は11月22日から12月18日までで、前期が11月22日~12月4日、後期が12月6~18日。昨年は西武、楽天、DeNAから選手が派遣され、NPBからは初となった。

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