巨人は22日、岡本和真内野手(29)について、今オフのポスティングシステムを利用したメジャー挑戦を容認すると発表した。球団では19年オフの山口俊、20年オフの菅野智之両投手に次いで3例目。

*******

 メジャー挑戦には岡本のアスリートとしての本質が詰まっている。

 海を渡ってプレーする姿を想像した鹿児島でのやりとりを思い出す。試合翌日の移動日だった24年4月10日。鹿児島空港の搭乗口付近の席に腰掛けた岡本に尋ねた。「日本でこれだけの地位、キャリアがある中で、新しくメジャーという環境で勝負することに怖さや迷いとかはないんですか?」と。窓の外を真っすぐを見つめてこう答えた。「俺、そういうのを怖いとか感じたことないんだよね。挑戦することに怖さなんか感じなくない? 鈍感だから怖いっていう感覚すら気がついてないだけかもしれないけど」。底知れない向上心と芯の強さが見えた気がした瞬間だった。

 メジャーの選手や球場、使っているグラブやバットの種類についてスラスラと語る。最高峰の舞台は「夢」や「憧れ」から、いつしか目指すべき明確な「目標」へと変わり、己を磨いてきた。14年ドラフト1位で入団してから今年の6月で29歳に。

プロ選手として折り返しを迎え、思いはより強くなっていた。「自分があとどれだけ第一線でやれるのか。あっと言う間に終わっちゃうので、一日一日無駄にはしないように。後悔のないようにやりたい。ほんまに時間ってないんで」。自己を高めることへの強烈な意識が、岡本和真という野球人の原動力。来季中には海外FA権を取得できる見通しだが、26年オフはロックアウトの懸念もある。悔いのない選択を―。このタイミングでのチャレンジは必然だった。

 ローテンションから繰り出す独特な“岡本節”でファンや報道陣を沸かせてきた。坂本や丸ら先輩からはいじられる愛されキャラであり、後輩からは太陽のような存在として慕われる。4年目にブレイクして以降、伝統球団の4番として責任と重圧を一身に背負って戦い続けてきた。

海を渡った先がよりシビアな世界であることは覚悟の上。それでも怖いものなんてない。“第2章”が始まろうとしている。(巨人野手担当・宮内 孝太)

編集部おすすめ