◆米大リーグ ワールドシリーズ第7戦 ブルージェイズ4―5ドジャース=延長11回=(1日、カナダ・オンタリオ州トロント=ロジャーズセンター)

 ドジャースが第7戦の敵地・ブルージェイズ戦で延長まで突入した接戦で逆転勝ちし、球団史上初となるワールドシリーズ(WS)2年連続制覇を達成した。前日に先発し、この日は9回途中から登板して胴上げ投手となりWS3勝を挙げた山本由伸投手(27)が、ワールドシリーズMVPに輝いた。

WSは3勝、防御率1・02と圧巻の成績をマーク。日本人では09年のヤンキースの松井秀喜(ヤンキース)以来16年ぶり、投手では初の快挙。日本人の胴上げ投手は13年の上原浩治(レッドソックス)以来2人目となった。直後のインタビューでは「ブルペンにいくまで投げられるか自信は無かったですけど、わからないですけど、最高です。このチームで優勝できてうれしく思います」と白い歯を見せた。

 3勝3敗で迎えた運命の第7戦、敵地・ブルージェイズ戦で4―4の9回1死一、二塁から6番手で登板。6回96球を投げて5安打1失点、勝利投手となった第6戦から連投となったが、2回2/3を投げ、無失点とチームを救う投球を見せた。試合後には「すごかったです。無心で、野球少年に戻ったようなそんな気持ちでした。気付いたら試合が始まって、ブルペンにいて、負けていたけど、途中に追いついて、気付いたらマウンドにいました。最高な気分ですね」と感無量の様子だった。

 9回は第5戦で先発したスネルがつくった大ピンチでマウンドへ。

いきなりカークに死球を与え、1死満塁とサヨナラ負けの絶体絶命の状況となったが、バーショを二ゴロで本塁封殺に仕留めると、クレメントの当たりは左中間へ。左翼のE・ヘルナンデスと中堅パヘスが交錯したが、パヘスがつかみ捕った。ベンチでは大谷翔平投手(31)が何度も何度も絶叫していた。

 失点すれば即サヨナラ負けの延長10回も3者凡退。相棒スミスの勝ち越しソロでリードをもらって迎えた延長11回も無失点で抑えた。

 山本はこの日、5回のドジャースの攻撃が終わると、第5戦に先発したスネルとともにベンチから外野のブルペンに移動していた。前日31日(同11月1日)の第6戦では、6回5安打1失点6奪三振。3試合連続完投はならなかったが、96球を投げてポストシーズン(PS)通算6勝目は日本人最多記録を更新し、ダルビッシュ有田中将大を2年目で超えた。普段なら先発翌日の連投はあり得ないが、この日は勝っても負けても今季最終戦。山本は試合前にグラウンドでキャッチボールを行っていた。

 第6戦の試合後には「(第7戦は)できれば応援を頑張りたい(笑)」と話していたが、ロバーツ監督はこの日の試合前、「全員が登板可能だ」と説明。「彼(山本)自身は『もし調子が良ければぜひ投げたい』と。

彼の姿勢はもはや肉体的な次元を超えていて、これはメンタルの領域だ。彼は私が見てきた選手の中でも、精神的に最も強い選手の1人」と称賛した。WS第2戦で完投勝利した山本は延長18回の死闘となった第3戦で結局登板はしなかったものの、幻の19回に向けてブルペンで登板準備する姿があった。レギュラーシーズンでもチームで開幕から唯一ローテを守ったエースがPSでも頼もしく投げ抜いた。

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