数々の名場面を紙面に残した長嶋茂雄さん(享年89)。特に有名な1枚がヘルメットを飛ばす空振りの場面だ。
両目を見開き、歯を食いしばる表情。胸の「GIANTS」が見えるほど体をねじった豪快なスイング。勢いのあまり飛ぶヘルメット。常に全力プレーでファンを魅了した長嶋さんらしい1枚は、死去を報じる6月4日付のスポーツ報知1面や8月16日の追悼試合(東京D)でも使われた。ミスタープロ野球を象徴する“日本一有名な空振り写真”といえる。
他紙にも似たような写真はある。ただ、右手を離してしまうほど力強いひと振り、右肩のすぐ近くに飛んだヘルメット、そして何より左胸の背番号3がしっかり写っている絶妙な構図で表現されている1枚は、本紙ならではだ。
現役引退する1974年の8月16日のヤクルト戦(後楽園球場)で撮られたもの。この日、ミスターは1回に先制ソロ、6回に追加点の足掛かりとなるヒットを打ち、チームは首位の阪神に0・5ゲーム差と肉薄。
長らく“お蔵入り”していたこともあり、撮影者は不明。「どの社も(ヘルメットが飛ぶ空振りを)狙っていたけど、あの位置で撮ったものは、あまりない」と振り返るのは、報知写真部OBの中山広亮さん(85)。三塁側のカメラマン席より打席に近い、三塁ベンチの本塁寄りの位置から撮っているため、思い切り体をひねるスイングの迫力が表現された。
61年の宮崎キャンプでは、先輩が撮影したヘルメットを飛ばすミスターの写真を、よく覚えているという。ヘルメットを浅くかぶっていたそうで、「長嶋さんは、その頃から意識していたんじゃないかな。少しゆるめの大きさのものをかぶっていると聞いていた」と振り返る。
常に球場で狙っているとはいえ、いつヘルメットが飛ぶか分からない。何度も撮影されたはずだが、空振りゆえに試合を左右する場面にならないため、読者の目に触れることはほとんどなかった。類似の写真はスポーツ報知にも何枚か残されているが、この1枚が名作となった理由は、表情や構図の妙だろう。










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