天皇賞・秋は推奨した11番人気アーバンシックが5着。直線でスムーズに抜けてくればという思いもあるが、同馬には改めて次走に期待することにして、今週はエリザベス女王杯の伏兵を探していきたい。

 今年はレース体系が大きく変更された。レース名が変わっただけでなく、時期、距離、場所、定量からハンデ戦など…。特に3歳以上&4歳以上の牝馬限定戦については、愛知杯が時期も距離も変更されたのをはじめ、マーメイドSが無くなり、同時期に府中牝馬Sがハンデ戦で行われ、これまでの「府中牝馬S」はアイルランドTとして行われた。これまでのエリザベス女王杯への臨戦過程が大きく変わっても不思議ではない。

 ただ、全体的な傾向は変わらないとみる。年齢別成績だ。過去10年で勝利数は4歳6勝、3歳と5歳が2勝。これまで好走率が高いアイルランドT組は、上位2頭のカナテープとライラックがともに6歳。過去10年で6歳の馬券圏内は3年連続2着のクロコスミアだけで不安は大きい。

 牡馬相手のG2ではオールカマーを勝ったレガレイラは、エリザベス女王杯は外枠でスムーズなレースができれば一枚力が上と思っていたが、昨年と同じ7番ゲートとなれば万全の信頼は置きづらい。札幌記念2着のココナッツブラウンはメンバーが手薄だった。別定戦となった新潟記念に菊花賞馬エネルジコはじめ好メンバーが集まったからだ。

 アイルランドTを制したのは、来週のマイルCSに回ったラヴァンダだった。エリザベス女王杯に出走してくれば主力の1頭だったはず。今年に入って阪神牝馬S3着、府中牝馬S3着と牝馬戦線では堂々の成績を残してきた。注目したいのが5月に行われたシドニーT。ラヴァンダは2着だったが、5着だったイングランドアイズも7月の小倉記念を制しており、レベルの高い一戦だった。

 実はシドニーTは2021年に芝2000メートルになって以降、3勝クラスで4度開催(24年は2勝クラスのハンデ戦、代わりにパールSが同じ条件で行われた)。このうちの出走馬は、のちにエリザベス女王杯で【1・0・1・4】と2頭が馬券圏内に入っている。21年10番人気1着アカイイト、9番人気3着クラヴェルだ。

 20年以降、3勝クラスの牝馬限定戦で芝の2000メートル以上の距離で行われるのは、シドニーTのみ。当然、夏から秋への飛躍を狙う牝馬が集まる一戦で、スタミナも求められる。上位馬がエリザベス女王杯で好勝負しても不思議ではない。

 今年は1着ランスオブクイーン、2着ラヴァンダ、3着オーロラエックスだった。

上位3頭を4歳が独占したのは、エリザベス女王杯で馬券圏内に2頭を送り込んだ21年以来。ラヴァンダに続いてランスオブクイーンの回避は残念だが、もう1頭のオーロラエックスは出走にこぎ着けた。

 デビューから松山弘平騎手が手綱を手放さず乗り続ける一頭。追い切り後の公式会見で管理する杉山晴紀調教師は「ここにきて、ポテンシャルがそのままレースに結びつくようになった」と成長を実感。前走は届かないような位置から馬群を縫って差し切った。初のG1となるが「決して気後れするような馬ではない」というトレーナーの言葉を信じたい。(編集委員・小松 雄大)

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