◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 取材で国会回りをしていたら偶然、高校の同級生と出くわした。同窓会以来、10年ぶりの再会。

聞けば某大手企業の要職に就いたので、国会議員へのあいさつ回りをしているのだという。「議員さんの印象どう?」と聞くと「我々と常識がズレている感じがするなあ」と苦笑いしていた。

 「永田町の常識は世間の非常識」が世間の常識になって久しい。自民党総裁選の高市早苗氏の出馬会見で、司会者の黄川田仁志議員が、質問を希望する記者を「そこの顔の濃い方」と指名したことがあった。終了直後に「あの発言についてコメントをもらっていいですか?」と話しかけると「そんなに悪かった?」とこぼしつつ「失礼を感じる方がいらっしゃるのであれば謝罪します」と即答した。

 政治家がよく使う表現だが、私は「自分は悪くないが、相手が怒っているから謝ります」という意味にしか聞こえない。間髪入れず口にしたことから「こういう謝り方が脊髄反射的に出てくるのか」と妙に感心さえしてしまった。

 同級生に「相手にこんな謝り方されたら普通はイラッとくるよねぇ」と話すと、「高市さんと言えば、総裁選で『飲み会に参加しないから友達が少ない』って議員やコメンテーターに批判されていたけど大丈夫? 飲み会強要が問題になっている時代なのに」と疑問を投げかけられた。「隔絶された世界にいると、その中だけの常識にとらわれて世間とずれるのかも。会社でも一緒だよ」の言葉にも納得した。お互い気をつけようと言い合いつつ、つかの間の再会を終えた。(社会担当・樋口 智城)

 ◆樋口 智城(ひぐち・ともき) 2001年入社。

北海道支社などを経て現職。

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