◆「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025」 日本7―7韓国(16日・東京ドーム)

 「ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025」で侍ジャパンが7―7で宿敵・韓国と引き分け、2連戦を1勝1分けで終えた。来年3月のWBC本戦に向け、井端弘和監督(50)はピッチクロックやピッチコムなど新ルールへの適応に手応えを示したが、この日は6投手で計9四死球。

WBC球やMLBの球審への対応に課題を残した。攻撃陣では本職の右翼ではなく中堅で先発した阪神・森下翔太外野手(25)が反撃のきっかけとなる二塁打を放つなど、本戦のメンバー選出へ猛アピールした。

 淡々と前を見据えながら井端監督は来年WBCへの課題と手応えを口にした。今年最後の強化試合は大勢が9回に一発を浴びるまさかの展開で7―7のドロー決着。2連勝とはならなかったが、宮崎合宿から取り組んできた新ルールのピッチコム、ピッチクロック対策について指揮官は「ある程度ルールに適応できた」と自信を見せたように、2戦を通じてピッチクロックの違反は初戦の9回に平良が取られた1度のみだった。

 新たな課題も浮き彫りとなった。この日の侍ジャパンの与四死球は9。初戦の3から激増した。個々のWBC球への対応はもちろんのこと、両軍合わせて21四死球が出た背景にはMLBの審判とNPBの審判とのストライクゾーンの違いがあった。低めにも高めにも厳しく、指揮官は「高めのボール球に手を出して相手の術中にはまってしまった。MLBの審判に適応していかないといけない」と分析。制球力が売りの金丸が失点した3回には、NPBでは明らかにストライクゾーンの球が「ボール」と判定された。

投球のリズムが乱れたことも失点につながった要因の一つだった。

 10日の広島との練習試合ではWBC球の扱いに手間取った松山は、指揮官から“変わり身”を期待されたが、決め球のフォークが高めに抜ける場面が目立つなど不安が残った。大勢と並ぶ守護神候補は「徐々に慣れてきてます。今後しっかり対応しないといけない」と修正に向けた悲壮な決意を口にした。

 国内組の“最終選考”が終了し、18日からは大谷、山本、佐々木のドジャース3人衆をはじめとするメジャー組を含めた選考、正式オファーを経て、年内で大方の陣容を固めることになる。「選んだ選手はしっかり準備して、今回の反省を生かして(ほしい)。あとは相手の選手をしっかり研究したい」と井端監督。韓国戦で得た教訓を胸に大会2連覇へ挑む。(長井 毅)

記録メモ 日本は韓国相手に四球7、死球2の計9与四死球。プロ選手が日本代表に参加した99年以降で、9与四死球は02年11月10日、インターコンチネンタル杯のキューバ戦に並んで最多。他にも14年11月20日、日米野球のMLBオールスターチーム戦でも9与四死球がある。

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