6月3日に亡くなった長嶋茂雄さんをしのぶ「ミスタージャイアンツ 長嶋茂雄 お別れの会」が21日、東京ドームで開催された。式典で王貞治さん、松井秀喜さんに続いてお別れの言葉を述べた俳優の北大路欣也は、献花後に代表取材に応じ、長嶋さんとの思い出を語った。

 長嶋さんとの出会いは「20歳を超えてすぐぐらいに高倉健さんから紹介を受けた」という。「僕が野球ファンだということを健さんがよく知っていたんで紹介してくださって。それから毎年のように初詣をご一緒した。その車中で野球の話をすると、僕が質問するといろいろ答えて下さって。毎年1年のアタマで光をもらって、お会いできるのがね本当にうれしかった」と振り返った。

 式典では1990年の年明け、北大路が主演した時代劇「宮本武蔵」に感動した長嶋さんから激励の手紙が寄せられたことを明かした。「本当に(放送の)3日後にお手紙が届いて、大きな果物が届いてさっそく読ませていただいたらあれ(紹介した文面)だったので感動しました。本当に12時間見てくださったんですよ。大変なことだと思う」と回想した。

 手紙は生涯の宝物だ。「スタッフの皆さんにも、この長嶋さんのお手紙を共有すると、そのスタッフの方々が、ものすごく喜んだんですよね。自分たちの思いが長嶋さんに伝わったっていうのがうれしかったみたいで…」と振り返りつつ「それから何年もそのスタッフの方と撮影をしたりするわけですが、そういう思いがしみこんでいたので、みんな頑張りましたね」と長嶋さんからの激励でより一丸となったという。

 事あるごとに寄せられた手紙での励ましは「本当に僕にとって大きな光だった。うれしかった」と北大路の背中を押すものだった。長嶋さんから受けた影響について「自分のやるべき務めっていうものをやり切られる方。そして普段のプライベートはすごく明るくて優しくて。その対照的な振幅があるっていうことが、やっぱりあれだけのことを成し遂げられるのだなっていう。いろんな刺激を若者はもらったと思います。僕に限らず、他の職業の方々もそうだったと思います」と語った。

 北大路の父で時代劇スターの市川右太衛門さんが亡くなったときにも駆けつけてくれたという。「忙しいのに飛んできてくださったんですよ。家内が少し沈んでるところへ来てくださって『大丈夫だ』って。『お父さんいくつ?』『92です』「92か! それはもうおめでたいよ』って励ましてくださった。人に対する思いやり…利他愛っていうのかな。

すごい方だと僕は思いました」

 長嶋さんへのメッセージについて「本当にありがとう、ありがとう。もう感謝感謝。それ以外何にもないです」と語った北大路。「今日、言葉としてはその思いは永遠だっていう言葉が出ちゃったんですけど。自分に与えられた務めを務めきる、強い魂に憧れます。自分としてもこれから頑張りたいっていう気持ち。そういう方と出会えたっていうのはね、本当に僕は幸せです」と思いを込めた。

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