巨人からドラフト指名を受けた支配下、育成計11選手が22日、G球場で施設見学を行った。1位指名の鷺宮製作所・竹丸和幸投手(23)は“ミスター魂”継承を宣言。

6月3日に肺炎のため亡くなった長嶋茂雄さん(享年89)が、生前「ファンあってのプロ野球」と公言してきたように、プレーでファンを魅了する選手への飛躍を期した。

 充実した設備に、竹丸は目を奪われた。G球場や隣接した選手寮、最新の機器がそろった研究室(ラボ)が入るトレーニング棟などを見学。その後はスタンドに設置された長嶋さんと王貞治氏のレリーフの前で、ファンと記念撮影に納まった。「本当に充実している施設。ここで野球をするのが楽しみになりました。本当に伝統のある球団だな、とすごく感じた」。普段はポーカーフェースの表情が、少しだけ緩んだ。

 21日に開催された「ミスタージャイアンツ 長嶋茂雄 お別れの会」から一夜明け、期待のドラ1が“ミスター魂”を胸に飛躍を期した。生前、長嶋さんは「ファンあってのプロ野球」と公言し、プレーで魅了して野球の魅力を広げた。ドラ1左腕は「天覧試合で本塁打を打たれたり、映像では見たことがある。野球界をすごく盛り上げた方」と印象を語り、「試合の結果やプレーでファンの方、球場に来られた方や見ている人が、楽しんでもらえるようなプレーができたら」。

プロとしてどうありたいかという心構えを口にした。

 期待に応えるため、自分を追い込む。イメージしたのは巨人のエースの姿だった。95年に右肘を手術した桑田真澄氏は、翌96年にG球場で1人黙々と外野フェンス沿いをランニング。その部分の芝がはげ、“桑田ロード”と呼ばれた。その伝説を聞いた竹丸は、「それぐらい走り抜きたいと思います」。今後“竹丸ロード”と認知されるほどの鍛錬を積んだ先には、大きな飛躍が待っているはずだ。

 最速152キロを誇るアマ球界屈指の左腕だが、179センチ、75キロの肉体はプロでは細身。入寮後はバランスの整った食事が提供され、充実のサポート体制が整う。「パクチーとかは無理」と苦笑したが、質も量もこだわった肉体づくりに励む。トラックマンなど最先端機器のそろうラボには特に興味を示し、「動作解析もできると聞いているので、生かしてレベルアップしていけたら」。フル活用で成長につなげる算段だ。

 背番号は左のエース級の投手が背負った「21」。23日に東京Dで開催されるファンフェスタで、ユニホーム姿がお披露目される。「初めてユニホームを着させてもらうので、それが一番楽しみ。満員になると聞いているので、ちょっと緊張しますが、それも楽しみ」。その左腕でファンを沸かせ、愛される存在になる。(小島 和之)

 ◆G桑田ロード 現役時代の桑田真澄が95年に右肘を手術。翌96年にG球場で連日外野フェンス沿いを走り込み、芝生がはげた部分が「桑田ロード」と称された。また、巨人では松井秀喜が旧ジャイアンツ寮で畳がすり切れるほど素振りを行った部屋が「松井部屋」として有名になった。

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