日本ハムの二刀流ルーキー・柴田獅子(れお)投手(19)が23日、スポーツ報知のインタビューに応じ、1軍で4登板を経験したプロ1年目を振り返った。後半戦の開幕投手を任されるなど新庄監督からの期待も大きい19歳が、二刀流の現在地、オフのテーマ、通年1軍の来季目標から見据えた将来像など胸の内を激白した。

(取材・構成=川上 晴輝)

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 19歳が丁寧に自分の言葉を紡いだ。プロ1年目は投手として4試合に登板、1ホールドで防御率2・92をマークした。だが、満足する様子は一切ない。

 「(自己採点は)50点くらいですかね。経験として(1軍で)投げられたのは良かったのですが、1軍で投げるのは当たり前というか。こんなんじゃあダメですね。1年目だからとか言われますけど、僕からしたら1年目だからとか関係ないです」

 プロとして大事にしているのは頭を使い、自分で考えること。

 「考えてやらないと壁を越えられないので。教えてもらうことも大切ですけど、もう一個先にいけないと思うんですよ。自己理解を深めないと分からない部分が多い。人間は考える生き物。それをしなかったら、もったいない」

 その習慣はマイブームのアニメ鑑賞からも。

「キングダム」や「Dr.STONE」など多種多様な作品から刺激を得ている。

 「トライアンドエラーっていうのが最近見ている作品で結構出てきて、何かを開発した人も、ダメだったらまた新しいことにトライしていく。最初からできる人はいない。(レベルが)低い人ほど、高く上がりやすいというか、登りつめていく感じがいいです。アニメを見て自分が今、どこら辺にいるかっていうのが分かる。『このレベルじゃ全然足りない』という気持ちが湧いてきて、野球をしたくなってくるんですよ」

 投手では1軍を経験したが、野手は2軍出場51試合で打率1割8分6厘、2本塁打と苦戦。オフのテーマは「パワー」。野手に専念し、ラグビー選手が行うアジリティーメニュー(俊敏さなどを高めるトレーニング)に挑戦し、速さと強さを追い求める。

 「大事なのはパワーであって筋量ではない。速さもまたパワーなので早く動かすスピード系の練習。そこを上げれば体のキレや伝わり具合も変わって、ランニング速度も変わる。そこも勉強しないとですね」

 打者としての将来像は、本塁打も打率も残せる三冠王。

 「最強っすね。三冠王ってどっちかがずば抜けてたら(偏ってしまうと)取れない。(打率)3割と30本を打てたらチャンスがある。ホームランも打ちたいし、打率も高くありたい。チャンスでも打てて、理想像です」

 2年目の来季、目標に掲げるのは二刀流としての1年間1軍。

 「1軍の舞台は分かったので。あとは継続するだけです。1年間をどう回るか。投手としてはCS(クライマックスシリーズ)で投げたいです」

 無限の可能性を秘めた19歳が、自分だけの道を切り開く。

  ◆柴田 獅子(しばた・れお)2006年4月18日、福岡・飯塚市生まれ。19歳。小2から野球を始め、庄内中では飯塚レパーズに所属。

福岡大大濠では1年夏からベンチ入りし2年秋からエース。甲子園出場なし。24年ドラフト1位で日本ハム入団。最速154キロ。憧れの選手はドジャース大谷翔平。187センチ、87キロ。右投左打。今季推定年俸は880万円。

  ◇キングダム 原泰久による日本の漫画。紀元前245年の春秋戦国時代、中華・西方の国「秦」で大将軍になる夢を持つ戦災孤児の少年・信と中華統一を目指す若き王(後の始皇帝)を描く大作。アニメ化、実写映画化され、興行収入はシリーズ4作連続で50億円超えの大ヒットを記録した。

 ◇Dr.STONE(ドクターストーン) 稲垣理一郎原作、Boichi作画によるSF漫画。

全人類が謎の光で石化した数千年後の世界を舞台に、超人的な科学知識を持つ主人公・石神千空(いしがみ・せんくう)が、「科学の力」で現代文明をゼロから復活させていく。木材や鉄などの自然素材から、電気や携帯電話など現代の文明を一つずつ再現していく。

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