陸上男子長距離の嶋津雄大(GMOインターネットグループ)が25日、都内で行われたミズノのイベントに登壇し、来シーズンから本格的にパラ陸上に参戦し、“二刀流”に挑戦することを表明した。既に日本パラ陸上競技連盟に選手登録されており「2028年のロサンゼルスパラリンピックに向けて気合を入れて頑張りたい」と言葉に力を込めた。

 生まれつき「網膜色素変性症」という病気で、視力が弱いハンデを持っている嶋津。創価大時代に箱根駅伝で2年時に10区区間新記録、4年時に4区区間賞など活躍し、GMOインターネットグループに進んだ後も、今年1月1日のニューイヤー駅伝6区区間賞など躍進を続けている。

 嶋津の目は、周囲が暗くなると「上映中の映画館」のように見えにくくなる。進行性で、「生まれつきの病気ですが、暗いところでは見えづらくなってきている。だんだん視野が狭まってきていて、最近は走っていても歩行者に直前まで気がつかないことも増えています」。折りたたみの白杖も持ち歩いているといい、「ミズノの白杖を使用していますが、めちゃくちゃ軽いし、反応も良いです」と説明する。

 昨年、日本ブラインドマラソン協会の方と話す機会があり、「話を聞いたら、その時に、T13のクラスに入るくらいの目になってきているとわかった」と両立を考えるようになり、今年の春頃に決断した。

 今後は、来年1月1日のニューイヤー駅伝や日本選手権出場なども視野に入れ、パラ陸上との“二刀流”でチャレンジしていく意向だ。「まだまだ自分にも頑張れることはあるんだなと。希望が見えてきた。頑張っていけたらっていう思いがあります」。パラ陸連からも「健常者と障害者の垣根をなくす存在になって欲しいと言っていただいています。

どちらも全力で。それは嶋津くんにしかできないことって言ってもらっています。オリンピックとパラリンピック同時出場みたいなことも狙えるかもしれない。ちょっと、夢ですね」と笑顔で青写真を描いた。

 目指す種目については今後受けるというクラス分けの結果によって変わっていくが「僕の場合だと1500メートル、5000メートル出場になるかなと思います」という。

 まずは直近の最大目標、来年1月1日のニューイヤー駅伝へ向けて足を磨く。「駅伝は心が躍る。GMOにどんどん強い選手が入ってきて選考も厳しくなっていますが、ニューイヤー駅伝も走れるように頑張っていきたい」。新しいチャレンジを決めた嶋津は、意欲をたぎらせていた。

編集部おすすめ