侍ジャパン井端弘和監督(50)が2日、来年3月に開催される第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)出場を表明しているドジャース大谷翔平投手(31)の二刀流参戦を熱望した。正式に参加を表明した大谷の起用法について言及し、本人が投球を希望した場合には当然、投手起用する意向。

「逆に投げないなら(別の)投手を増やさないといけない。それぐらい貴重な戦力です」とチーム編成に影響する事案と位置づけ、投打にわたる活躍を期待した。

 普段はクールな井端監督には珍しく、高揚感があふれた。大谷が11月25日(日本時間26日)にWBC出場を正式に表明。名古屋市内で行われた元中日・岩瀬仁紀氏の「殿堂入りを祝う会」に出席した指揮官は“吉報”を受けて起用法を頭に巡らせた。本人の意向を優先するとした上で「そう(大谷が登板を希望)すると、投手として考えないといけない。逆に投げないなら(別の)投手を増やさないといけない。それぐらい貴重な戦力です」。編成にも関わる“重要事項”と位置づけ、二刀流での出場を期待した。

 23年の第5回大会では1次ラウンドとイタリアとの準々決勝で先発。米国との決勝戦では9回に登板し、胴上げ投手になった大谷。来年3月の二刀流について、11月末のオンライン取材で「投げたパターンとしても何通りか、投げないパターンとしても何通りかプランを持っておくべき」と見通しを示していた。

2度目の右肘手術から投手復帰したのは今年6月。ワールドシリーズ第7戦まで登板した疲労があったことは想像に難くない。ドジャースのロバーツ監督は本紙のインタビューで「翔平は右肘の手術から戻ってきたばかり。(WBCで)投げれば大きな負担になる」と“本音”を明かしていた。今後、ド軍と侍ジャパンを交え議論を重ねた上で本番の起用法が決まるが、大谷の希望が優先され、先発陣に加わるとなれば大幅な戦力アップとなる。

 打者としても、最適解を模索する。ド軍で1番が“指定席”となっているが、井端監督は「他の選手との兼ね合いを含めてですけど、上位で打ってほしい」と1~3番での起用を示唆。切り込み隊長としての役割だけでなく、長打力を生かす主軸としてのプランも温めている。

 指揮官は8日(日本時間9日)から開始予定のメジャー球団の監督、GMらが一堂に会するウィンターミーティングに出席し、日本人メジャーリーガーらが在籍する球団首脳との話し合いにも臨むことになりそうで、帰国後は急ピッチで人選を進め、12月中には大枠のメンバーを固める方針だ。

 大谷は早ければ宮崎合宿(来年2月14~24日)終了後、チームが名古屋に移動する同25日にも合流する見込み。「こちらとして仕上げてきてもらえることだけしか(希望は)ないですし、スプリングトレーニングはけがをせずにやってほしい」と井端監督。全幅の信頼を置く大谷の二刀流“解禁”を静かに待つ。

(長井 毅)

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