巨人・リチャード内野手(26)が8日、来季から創設される「長嶋茂雄賞」の第1号受賞に意欲を示した。6月3日に亡くなった長嶋茂雄さん(享年89)の偉大な功績をたたえ、プレーでの顕著な活躍に加えて「ファンを魅了する」ことが選考基準となる表彰。

今季自己最多の11本塁打を放つなど覚醒(かくせい)の兆しを見せた大砲が来季、規格外のパワーとファンに愛される明るいキャラクターでアピールすることを誓った。

 野球少年のように大きな目を輝かせた。全力プレーをモットーに、あえて来季の数字目標は立ててこなかったリチャード。しかし新設される「長嶋茂雄賞」について問われると、熱い思いが言葉になった。

 「絶対、ジャイアンツの選手がとった方がいいですよね。(選考基準は)インパクト系ですよね?すごい選手はいっぱいいるので(既存の)タイトルをとると思う。自分はそういった賞をとりたいと思います」

 5月にソフトバンクから加入し、自己最多の11本塁打をマーク。長嶋さんと同じ、巨人のホットコーナーも守った。長嶋茂雄賞は「走攻守で顕著な活躍をし、グラウンド上のプレーでファンを魅了」などが選考基準とされている。「ぜひともジャイアンツから。あわよくば僕がとれたらいい」と意欲を見せる男も、候補者となる資質を秘める。

 〈1〉驚異的なパワー 8月24日・DeNA戦(東京D)で放った左中間ビジョン広告直撃弾の飛距離147メートル、打球速度185キロは、今季のMLBトップクラスに相当。

「崩されて打った方が印象に残ってますね」と片手でもスタンドインする規格外のパワーは、G党に大きな印象を残した。

 〈2〉堅守 今季77試合で失策は3。189センチ、123キロの体格を駆使した柔らかい身のこなしには定評がある。「走塁ではすごいことはできないですけど自分のプレーができたら」と、選考基準の攻守でアピールする。

 〈3〉明るいキャラクター 5月16日の中日戦(東京D)で吉川が逆転3ランの際にベンチで頭を抱えて喜ぶリチャードの姿が話題に。新天地に一瞬でとけこんだ愛されキャラで、ファンを“魅了”してきた。「勝ってるときでも負けてるときでも関係なく声を出せる僕みたいな人が一人でもいれば勝てる。それができていれば賞も近づいてくる」と誓った。

 この日は、都内で「ジャンクSPORTS『プロ野球 日本シリーズ』」(来年1月18日・後7時)の収録に参加。「遠くまで届くような声で、テレビのままでした」とMCの浜田雅功の印象を語った。野手の来季レギュラーは白紙で、ポスト岡本候補の一人として期待がかかる大砲もまずは定位置奪取が眼前の目標となる。「頑張るだけですね。

ひたすら」。特大のポテンシャルを本格開花させた先に、長嶋茂雄賞が見えてくる。(内田 拓希)

 ◆長嶋茂雄賞 多くのファンに愛され、感動を与え、プロ野球の発展に大きく貢献した長嶋茂雄さんの功績をたたえる目的で制定。12球団の選手で走攻守に顕著な活躍をした野手が対象で「プレーにおいてファンを魅了するなど、日本プロ野球の文化的公共財として価値向上に貢献した選手」に与えられる。

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