出場機会に恵まれない選手を他球団が獲得する第4回「現役ドラフト」が9日、非公開でオンライン開催され、巨人は日本ハムから松浦慶斗投手(22)を獲得した。最速155キロの力強い速球が武器の大型左腕で、阿部慎之助監督(46)は「先発の争いに割って入ってくれれば」とチームの課題となっている先発での活躍を期待した。

巨人からは菊地大稀投手(26)が日本ハムに移籍。結果的に両球団間で交換する形となった。

 巨人がビッグな左腕の補強に成功した。現役ドラフトで日本ハムの松浦を指名。補強ポイントの「左の先発」の層を厚くした。186センチ、103キロの巨体で、最速155キロの直球が武器の本格派。阿部監督は「体も大きく球威もある投手。ジャイアンツの投手陣の中で十分、競争できるのではないかなと思っていますし、先発の争いに割って入ってくれればうれしいです」と大きな期待を寄せた。

 プロ通算6登板で0勝。高卒4年目の今季は1軍登板なしだったが、2軍では19登板(6先発)で防御率3・41だった。ツーシーム、スライダー、カットボール、フォークも操り、奪三振能力も高い原石。今年の現役ドラフトの12球団事前指名では、各球団最低2選手以上出す必要がある「指名リスト」の中から巨人が最も多く票を集め、1番目の指名権を得たという。

狙い通りの松浦獲得だった。

 今季リーグ3位に終わった巨人は先発不足に苦しんだ。山崎が11勝、戸郷が8勝(1勝は救援)したが、左腕は6勝のグリフィンが最多で、井上4勝、森田3勝、横川2勝。グリフィンは退団見込みで、ドラフトでは阿部監督が「左の先発がいないので」と1位で鷺宮製作所・竹丸、3位で亜大・山城の両即戦力左腕を指名した。日本ハム自由契約の左腕・北浦とも支配下契約し、補強を進めてきた。

 昨年の巨人は日本ハムの田中瑛を現役ドラフトで獲得。高卒7年、通算10登板で1勝だったが、2月のキャンプで阿部監督が右打者の内角をえぐるシュートに注目。中継ぎとして62登板で36ホールド、防御率2・13と大飛躍した。松浦はかつて新庄監督が「思い切りのある投手。勢いあるあの球が低めにどんどんいったら、使い道が広がってくる」と潜在能力を高評価していた。古巣の先輩に続く「現ドラドリーム」となれば、本人にとっても巨人にとっても価値ある移籍になる。

 宮城・石巻出身。

小1時に東日本大震災で被災して北海道に引っ越し、小6で日本ハムファイターズジュニアに選ばれた。名門・大阪桐蔭からプロ入りして4年目で迎えた転機。日本ハムを通し「チャンスだと思いますし、自分の可能性を信じて力を発揮できるように頑張ります」とコメントした。心機一転、ブレイクに燃える左腕が阿部巨人の激しい先発争いに加わる。(片岡 優帆)

 ◆松浦 慶斗(まつうら・けいと)

 ▽生まれ 2003年7月1日、宮城・石巻市。22歳。独身

 ▽球歴 門脇小1年時に門小ガッツスポーツ少年団で野球を始め、2年終わりに北海道・旭川市に転居。新富小3年から新富野球少年団に入団し、6年時ファイターズジュニアに選出。明星中では旭川大雪ボーイズに所属。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入り。2年夏の交流試合と3年春夏の甲子園に出場。21年ドラフト7位で日本ハム入り

 ▽サイズ&投打 186センチ、103キロ。

左投左打

 ▽来季年俸(推定) 650万円

 ▽球種 直球、ツーシーム、スライダー、カットボール、フォーク

 ▽同期同学年 ドラ1には今季8勝の達、5勝の福島、11セーブの柳川ら好投手ぞろいで、「彼らには負けたくない」とライバル視。大阪桐蔭時代のチームメートにはオリックスの池田、25年のドラフト3位で中大から楽天入りした繁永らがいる。

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