◆J1昇格プレーオフ ▽決勝 千葉1―0徳島(13日・フクダ電子アリーナ)
J1昇格プレーオフ(PO)決勝が行われ、千葉が徳島を1―0で下し、2009年以来となる17年ぶりの復帰を決めた。Jリーグ史上最長ブランク昇格で、これまでの“ぬるま湯体質”から脱却し、6度目のPOで悲願達成。
待ちに待った瞬間が訪れた。ついに響いた昇格決定のホイッスル。千葉の17年ぶりJ1帰還が決まった。09年の降格を知る最年長37歳のDF米倉が、黄色に染まった満員のホームで「お待たせしました!」と声を張り上げた。
FWカルリーニョスジュニオが後半24分に挙げた1点を、体を張り、歯を食いしばり、耐えに耐えて守り抜いた。就任3年目の小林慶行監督(47)は「めちゃくちゃうれしいし、めちゃくちゃ疲れました」。J2は16季目で、POは6度目の挑戦。ようやくサポーターとの約束を果たした。
険しく長い道のりだった。09年にクラブ史上初の降格が決定。
05年、ナビスコ杯(現ルヴァン杯)で初タイトルをつかんだものの、降格後はサッカーに一貫性がなかった。フロントもなかなか結果が出せない指導陣に我慢ができなかった。J1時代は低予算クラブとして奮闘も、J2では資金力に恵まれている部類。ハングリー精神はなくなり、気づけば“ぬるま湯体質”に陥った。
変革の序章は23年の小林慶行監督(47)の就任。同年6位、翌24年も7位だったが、クラブが監督を更迭せず熟成路線を貫いた。米倉は「こんなに監督とコーチを選手が信頼しているチームって、なかなかない」と胸を張る。
オシム氏は03年の監督就任直後、「野心を持ちなさい」と選手に言い続けてきた。
今季の千葉には、その野心があった。自動昇格に勝ち点1及ばずPOに回ったが、下を向かず一致団結した。大宮との準決勝は0―3からの大逆転勝利。この日もリーグ38戦で24失点の堅守・徳島を打ち破った。うれし涙を流した在籍5年目のDF鈴木は「いいチームなんですよ。みんなで勝ち抜き、つかみ取った結果」と感無量。七転八起の精神こそ千葉の伝統だ。野心を取り戻した千葉が、長すぎたトンネルを抜け出した。
〇…千葉OBで元日本代表FWの巻誠一郎氏(45)が試合後に取材に応じ、古巣のJ1復帰を祝った。03年から8年間で53得点を積み重ねたストライカーは「心のどこかで常に思い続けたクラブ。これを1歩だけで終えるのではなく、力強く前に歩み続けられるクラブであってほしい」とエールを送った。また、ともに千葉の黄金期を作り上げ、22年に80歳で亡くなった恩師のオシムさんについては「(もし生きていれば)ここからのジェフが大切だと言うんじゃないかな」と話した。
◆小林慶行監督に聞く
―満員の中での昇格決定。
「最終節、準決勝、決勝とたくさんの方に来ていただいて。皆さん、見回してもらえれば分かると思いますが…最高です!」
―昇格決定の瞬間。
「実感がないんですよね。とりあえず目の前のゲームに勝って、とりあえず昇格が決まった。よかったって気持ちだけですね」
―クラブ悲願の昇格。
「自分はここでプレーしたこともないし、はっきり言えばよそ者。そんな自分を監督に選んでくれたことに、プレッシャーもあったし責任もありました」
―就任3年目での悲願。
「自分の中では3年間のストーリーがあり、ぶつ切りになることなくつながって今がある。勝負の3年目でした」
◆ジェフユナイテッド市原・千葉 古河電工サッカー部が前身。古河電工時代には川淵三郎氏、岡田武史氏、田嶋幸三氏、奥寺康彦氏らがプレー。91年、古河電工と東日本旅客鉄道の共同出資により誕生。93年のJ初年度から参戦。03~06年途中に元日本代表監督のオシム氏が指揮。主なOBに元日本代表の巻誠一郎氏、阿部勇樹氏ら。ホームスタジアムはフクダ電子アリーナ。
◆千葉の歩み
▽93年 「オリジナル10」の一員としてJ初年度から参戦。年間8位。
▽03年 元ユーゴスラビア代表監督のオシム氏を監督に招聘(しょうへい)。年間3位と躍進。
▽05年 ナビスコ杯(現ルヴァン杯)で優勝。J創設以来、初タイトルを獲得。新スタジアム「フクダ電子アリーナ」開場。
▽06年 ナビスコ杯連覇。オシム監督が日本協会に引き抜かれる形で代表監督就任。息子のアマル・オシム氏が就任も11位。
▽08年 残留争いに巻き込まれるも、最終節のFC東京戦で0―2の後半29分過ぎから11分間で4得点を挙げる“フクアリの奇跡”で逆転残留を達成。
▽09年 クラブ史上初のJ2降格。
▽10年 4位で1年での昇格逃す。
▽12年 5位。昇格PO決勝敗退。
▽13年 5位。
▽14年 3位。昇格PO決勝敗退。
▽17年 6位。昇格PO準決勝敗退。
▽19年 42試合でわずか10勝に終わり、降格後最悪の17位。
▽23年 小林慶行氏が監督就任。6位。昇格PO準決勝敗退。
▽25年 降格後最多の勝ち点69で3位。6度目となった昇格POを制し、悲願のJ1復帰。
◆千葉のJ1昇格PO
▽12年決勝(国立)
大分(6位) 1―0 千葉(5位)
▽13年準決勝(鳴門大塚)
徳島(4位) 1―1 千葉(5位)
▽14年決勝(味スタ)
山形(6位) 1―0 千葉(3位)
▽17年準決勝(パロ瑞穂)
名古屋(3位) 4―2 千葉(6位)
▽23年準決勝(味スタ)
東京V(3位) 2―1 千葉(6位)
▽25年決勝(フクアリ)
千葉(3位) 1―0 徳島(4位)
※順位はJ2。引き分けの場合はリーグ上位が進出

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