◆第77回阪神JF・G1(12月14日、阪神競馬場・芝1600メートル、良)

 2歳女王決定戦、第77回阪神JF・G1は14日、阪神競馬場の芝1600メートルで行われ、2番人気のスターアニス(松山)が直線で抜け出し、重賞初制覇を飾った。同舞台の牝馬3冠初戦、桜花賞(4月12日、阪神)の最有力ヒロインに躍り出た。

 28年ぶりとなる重賞馬不在の混戦を断ち切った。スターアニスは外め7、8番手の好位置をキープ。日陰になっていた4コーナーから勝負の直線に飛び出ると、夕日に照らされて栗毛の馬体が美しく輝いた。前に壁はなく、あとはVロードを突き進むだけだった。

 追い出しを待った松山が左ムチを一発。それに呼応するようにグングンと加速する。「返し馬からすごくよかったですし、自信を持って最後も外へ出せました」。残り200メートルから完全に抜け出すと、上がり最速で内から迫るギャラボーグの追い上げを1馬身1/4差で封じた。

 天気も味方した。早朝まで降った雨も上がり、4R終了後は馬場も稍重から良に回復。「今日みたいなきれいな馬場が持ち味が出るんじゃないかな」と振り返ったとおり、大跳びのフットワークを存分に発揮させ、コースレコードに0秒3差の好時計決着だった。レコード決着だった前走の中京2歳Sでも牡馬相手にタイム差なしの2着に好走。

検量室へ引き揚げる松山には充実の笑みがあふれていた。

 母が敗れた舞台で、課題の距離延長をクリアした。スプリント重賞2勝の母エピセアロームは、11年の阪神JFを2番人気で8着。2度騎乗経験のある松山は「跳びがきれいな部分が似ています。お母さんよりも距離が延びて走れるのはいい」と、新馬から4戦連続で手綱を握る娘への手応えを深めた。今年のJRAの芝マイルG1・3勝目となった高野調教師も「信じていましたが、勝ってくれてすごい馬だなと思います」と興奮したように語った。

 この日の馬体重は478キロで、腹回りは細くまだまだ成長途上だ。高野師は「今後は筋肉が付いてくると思いますが、それでも力を出せるように管理していきたい。春は同じ舞台をもちろん狙います」と桜花賞を見据えた。成長した姿で、桜の女王の称号も狙い撃つ。(松ケ下 純平)

 ◆スターアニス 父ドレフォン、母エピセアローム(父ダイワメジャー)。栗東・高野友和厩舎所属の牝2歳。

北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算成績は4戦2勝。重賞初勝利。総獲得賞金は8476万8000円。馬主は吉田勝己氏。

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