◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 日本高野連による「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」は5日、7回制について、「2028年のセンバツをめどに、全公式戦に採用することが望ましい。夏の選手権は差し迫る猛暑への対策が急務で、地方大会を含め可及的速やかな採用が望まれる」と理事会に最終報告した。

一方、加盟校への調査では採用反対が7割に及んだ。

 では、どうすべきか。よく出る代案は開催時期や球場の変更。10回行った検討会議で3回、主な議題となった。ただ、時期は「高校野球は学校教育の一環で学業の妨げにならないよう全国大会の開催は長期休業中に行うべき」とし、球場は「歴史的、社会的見地から甲子園球場での開催が望ましい」と結論。金銭や日程面の壁も高い。また、本紙が昨夏の甲子園に出場した選手50人に行った調査では、8割以上が甲子園球場を希望。7回制と同様、現場は否定的と考えられる。

 当初は、何より球児の声が優先と思っていた。ただ、4年間の取材で足をつる選手や熱中症で倒れた観客を何度も見て、命を守るにはそう言っていられないという考えが生まれた。その中で、東洋大姫路・岡田龍生監督の言葉を思い出した。「(ドーム開催も)いいんじゃないの。

甲子園しか知らんから、『食べたことないのにこっちの方がおいしい』とか分からんでしょう。やって甲子園に勝てないと思えば、僕は甲子園と言うかもしれないし」。何事も本当にダメかはやってみないと分からない。ダメなら戻せばいいくらいの柔軟さが、甲子園大会の継承には必要なのかもしれない。少なくとも、変化を受け入れることは高校野球を諦めることではないと思う。(アマ野球担当・瀬川 楓花)

 ◆瀬川 楓花(せがわ・ふうか) 2022年の入社からアマチュア野球を担当。

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