◆第77回朝日杯フューチュリティステークス・G1(12月21日、阪神競馬場・芝1600メートル)

 2歳マイル王を決める第77回朝日杯フューチュリティS・G1は21日、阪神競馬場で行われる。リアライズシリウスは新馬戦を7馬身差で圧勝し、続く新潟2歳Sを4馬身差V。

今福洋介オーナー(49)がスポーツ報知のインタビューに応じ、新進気鋭のオーナーが上位人気馬で挑む心境、競走馬を購入するきっかけなどを語った。(取材・構成=石行 佑介)

 ―オーナーを始めてわずか2世代目で、2度目(初出走は昨年のホープフルS、リアライズオーラム=15着)のG1にリアライズシリウスを送り出します。

 「人気馬で参戦できるのはドキドキしますよね。2年目でこういうチャンスが巡ってくるというのはなかなかない。すごいなと思いますし、何年かかっても巡り合えない人もいるなかで、本当にラッキー。僕一人では何もできないので、本当に皆さんのおかげだと思っています」

 ―同馬は7馬身差で逃げ切って新馬戦を圧勝。大器の片りんを見せました。

 「新馬戦を勝った時は相手の強さも分からなかったですし、本当かなと。ただ、東京の直線で後続をぶっちぎっていく姿を見て結構強いんじゃないかなと。名馬の新馬戦特集みたいのを見ている気がして、これはいいんじゃないかと思いました」

 ―続く新潟2歳Sは出遅れながらも、スッと2番手につけ、最後は4馬身差をつけて重賞初制覇。ご自身としても初タイトルでした。

 「2年目でグレードレースを取れたらすごいなと。

生涯に一度取れるかどうかじゃないですか。調教もいいって聞いていたし正直、あまり心配はしていなかったんですよ。これ勝てるんじゃないかなと思って新潟に行ったんです。そしたら出遅れて(笑)。うわ~となりましたね。最初に脚を使ってしまったので大丈夫かなと思って見ていましたが、最後の直線でまた伸びて。ポテンシャルは相当あるなと思いましたね。津村さんも引き揚げて来た時に、課題があると言っていましたし、それだけ期待してくれているということだと思います」

 ―23年11月に馬主資格を取得されましたが、どんな経緯でオーナー業に携わろうと思われたのですか。

 「30歳半ばから40歳ぐらいに馬を買わないかという人が多く来たんですけど、馬主の気持ちになれないとお断りしていました。ですが、追分ファームの吉田正志さん(マネジャー、G1レーシング代表)が大学時代の後輩で、彼の息子と私の息子が高校の同級生ということもあり決意しました。正志さんには馬の紹介など、いろいろと巡り合わせてもらって感謝しかないですね」

 ―今福オーナーはセレクトセールで高額馬を多数落札されています(リアライズシリウスは24年1歳で4000万円)。

 「行った当初は馬を見ることが何もできなかったですが、素人ながらに自分でも少しずつ勉強しています。

趣味ではなく事業と考えてやっていくことを決めていたので、しっかりしないと、と思いましたし、セールでは名前が売れることで業界の色々な方に知ってもらう機会になりました」

 ―リアライズシリウスはポエティックフレアの初年度産駒ですが、父はシンジケートが解散されました。本馬に懸かる期待も大きいはずです。

 「社台ファームの(吉田)哲哉さん(副代表)がポエティックの血は残さなきゃいけないと言ってくださいました。まだ気は早いですが、種牡馬も含めてそういう馬になってくれたらうれしいですよね」

 ◆今福 洋介(いまふく・ようすけ)兵庫県生まれ。49歳。1999年慶大法学部法律学科卒業。2011年にリアライズグループを創業。15年に現在の(株)リアライズコーポレーションを買収。現在はリアライズグループの多くの代表取締役社長を兼務する。JRAで競走馬20頭を所有。

 ○…今福氏が代表を務めるリアライズコーポレーションは、歌手・近藤真彦が率いるレーシングチーム「KONDO RACING」やSUPER GTなどのメインスポンサーを務める。「社員やお客様を含めてみなさん馬や車もそうですが、レースが好きですし、僕も楽しいのが好きなので。

みんなが楽しめるものを応援したいですね」と同代表。「自動車をもう少し盛り上げていきたいですね」と今後の展望を語った。

取材後記

 今福氏はオーナーとしてメディアの取材を受けるのは初めてということで、緊張感に包まれたものになるかと予想していたが、時折笑いも交えながら終始和やかムード。場の空気づくりはさすがだと思わされた。

 代表を務めるリアライズコーポレーションでは、競馬好きな社員が多数いるという。リアライズシリウスという名前も社員から公募して名付けたそうで、社内での機運も高まっているように感じた。さらに今後は「競馬同好会」のようなものを立ち上げる予定で、まさに先日、最終回を迎えたドラマ「ザ・ロイヤルファミリー」の「競馬事業部」とそっくりの展開。“リアル・ロイヤルファミリー”にも今後は注目していきたい。(石行 佑介)

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