来季から新主将に抜てきされることが決まった岸田は、捕手らしいリーダーシップを持つ。新キャプテンの適性を、巨人担当の宮内孝太記者が3つの視点から「占う」。

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 岸田のキャプテン適性は高いと感じている。大事にしているのが、阿部監督からファーム時代にかけられた捕手としての振るまいに関しての言葉だ。「キャッチャーは一人だけ違う方向を向いて守るポジション。だから、どんな時であっても見られている意識を持ってやれ」。指揮官の教えを胸に捕手として成長する中で、リーダーとして必要な3つの能力が磨かれた。

 〈1〉コミュニケーション能力を生かした求心力 先輩、後輩から人望は厚い。「いろいろな人と話すのは好き」と積極的に会話をするタイプ。坂本や丸らベテラン、泉口ら年下の選手からも慕われる。25年3月の侍ジャパンでは初選出にもかかわらず、コミュニケーション能力を武器に他球団の選手とも打ち解けた。強化試合初戦でいきなり円陣の声出し役を務めたほどだ。捕手ということもあり、投手との意見交換も日常。投手と野手の垣根を越え、団結させる素養がある。

 〈2〉行動力 23年の那覇キャンプ中、宿舎で学生3人と人命救助を行ったことがある。場所は風呂場。湯船でおぼれかけていた高齢男性を見つけると、迷わずに引っ張り上げ、すぐに救急要請のボタンを押した。状況を瞬時に把握して、行動に移すことができる姿は頼もしい。

 〈3〉広い視野 グラウンド内外で視野が広い。24年春のこと。記者が足を滑らせてスタンドの階段で転倒した姿を、遠くのグラウンドから確認。まさか見られているとは思っていなかったため、翌日に「昨日、大丈夫だった?」と気遣いの声をかけてくれた時は驚いた。どんなことも見逃さない鋭い目はリーダーとしても役立つに違いない。

 ひたむきに野球と向き合ってきた岸田には、主将としての適性と魅力にあふれている。大黒柱として新風を吹かせてくれそうだ。(宮内 孝太)

 〇…来季から選手会長を務める吉川が「キシもたくさん経験している。

しっかりサポートしたい」と岸田新主将のサポートを約束した。来季は主砲で前主将の岡本が抜け、自身もチームの柱としての役割が求められる。「チームが一緒になってやっていくことが一番。みんなが同じ方向を向いてやってもらえたら、チーム力も責任感も生まれる」と2年ぶりの優勝に向け、一丸のチームをともに作り上げていく。

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