まれに見る強力メンバーがそろった朝日杯FS。伏兵扱いのスペルーチェだが、出すからにはもちろん勝算がある。

宮田調教師は「すごく気が勝っている馬ですし、いかにも早い時期から結果を出せるタイプだろうなと思っていました」と仕上がりの早さをストロングポイントに挙げた。

 2歳冬は人間で言えば高校1年生ぐらい。やはり成長度の差は大きく出るようだ。「馬によって全然違いますね。明らかにいい馬だけど今じゃないなっていうのもいます。今年の2歳はある程度結果を出している馬も自厩舎にいますが、その中でも仕上がりの早さは一枚上ですよ」と言葉が弾んだ。

 馬の特性を見極め、育てるのが調教師の仕事だが、同時に厩舎のマネジメントも大きな責務だ。「ありがたいことにいい人材が集まってくれていますが、すごく難しさも感じています」と苦笑い。「師匠の国枝(栄)先生がざっくり指示を出される方だったので自分もそうやってきたのですが、若い世代は具体的に示してくださいと言ってくるので…」とジェネレーションギャップに悩む日々のようだ。

 だからこそ「マネジメントやリーダー論の本を読んでいます。先日も競馬学校生にコミュニケーションについて講義してくれと言われたのですが、15冊くらい持っていきました」と日々学習を続け、理想である「それぞれの個性が集約していくチーム」作りにまい進。厩舎の“仕上がり”も確実に前進を遂げている。

(角田 晨)

 ◆宮田敬介(みやた・けいすけ)1980年10月8日、茨城県日立市生まれ。45歳。麻布大卒業後にノーザンファームに入社。2年半勤めた後、05年にJRA競馬学校厩務員課程入学。06年から栗田博憲厩舎、09年から田島俊明厩舎、14年から国枝栄厩舎で調教厩務員、調教助手として勤務する。19年に調教師免許を取得し、20年3月に開業。同年4月5日に中山で初勝利を挙げる。23年エリザベス女王杯のブレイディヴェーグでG1初制覇。JRA通算146勝。

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