NHK出版の江口貴之社長、原島渉経営企画局長は22日、都内で、社員の懲戒処分についての会見を行った。懲戒処分になったのはマーケティング局マーケティング管理部の50代の担当部長、50代の副部長の2人。

また、60代の部長も減給処分となった。

 江口社長は物流拠点の「NHK出版 流通センター」(埼玉県新座市)で起きた3つの事案を報告。運送業務の委託先が出版物を輸送するトラックの台数を水増しして報告し、2023年度以降、少なくとも約700万円を不正に請求していた疑いがあり、担当部長と副部長は架空請求を疑わせる事実を認識しながら看過していたという。また、担当部長は2019年度から2021年度にかけて発注した流通センターの複数回の修繕工事にあたり、同委託先の社員の依頼で特定の業者が特定されるように便宜を図り、同社員から見返りとして現金約93万円を受け取っていた。副部長は、2022年度から2023年度にかけて、同じ社員に当社の内部事情を繰り返し漏洩(えい)。これらの事案に関して、部長は上司として業務の管理・監督が十分ではなかったという。

 江口社長は「重大なコンプライアンス違反であり、深くお詫(わ)びいたします。社内のチェック体制を見直し、再発防止に向けた取り組みを徹底して参ります。改めて心よりお詫び申し訳ありませんでした」と謝罪。「NHKの担当理事から当社の取締役3人に厳重注意を受けております。取締役3人は、経営上の責任を明らかにするため、報酬の一部を自主返納することとしました」と報告した。

 刑事告訴も含めて弁護士に相談中。

「誰を、というところは資料を提供して弁護士の方に誰を相手にするか精査していただいているけど、運送業務を委託しているところのどなたかが相手になる。社員が含まれるかどうかは検討中」とした。不正受給に関しては「業種を紹介された時には現金の話はなかった。支払いが終わった後に委託先の社員から業者からの謝礼とポンとわたされて受け取ってしまった。工事をお願いするときにはこういうことが起きるとは思っていなかった」と説明したという。情報漏洩に関しては「流通センターは来年度廃止することを決めている。(委託先は)流通センターがどうなるか関心があって、資料が渡っていた」と話した。

 事案の発覚は8月末。担当部長自ら「現金を不正なお金であることは認識していて、後ろめたさがあった。発覚するのは時間の問題だと思っていた」と報告。不正にお金を受け取り続けた理由に「断ると面倒だと思った」と説明したという。

 委託業者は数十年関係のある小規模の会社。

担当部長は「認識していた以上、早く報告すべきであった。厳しく認識している」と謝罪を述べた。原島氏は「人間関係が濃くて、運送業務を委託している社員と担当部長の関係が非常に強かった。副部長にしても社員から聞かれて資料内のと言われると渡しちゃう。委託業務の委託先と当社の境界があいまいになっていたのではないか」と調査を踏まえた見解を示した。

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