京都産業大学硬式野球部が13季ぶりに関西六大学を制した。10月13日に京都市右京区のわかさスタジアム京都で行われた関西六大学野球秋季リーグ戦の最終戦は、首位で並ぶ京産大と大商大による直接対決となった。

京産大はリーグ戦初先発となった二宮知也(4年・法学部)が、8回2/3を無失点に抑える好投を見せ、18年秋季以来となる7年ぶりのリーグの頂点に返り咲いた。

同僚の存在が支えに 優勝決定戦で好投

 対戦成績1勝1敗で迎えた第7節の3回戦。夏の余韻をまとう秋晴れの朝、頂上決戦の幕が上がった。この大一番の先発マウンドに上がった二宮は「後ろに田村(剛平=4年・経済学部)と由上(慶=4年・法学部)がいてくれたので、安心してマウンドに上がることができた」と序盤から力投を見せる。

 「1イニングずつ、1つのアウトを集中して取ることを考えていた」という言葉通り、直球と変化球を織り交ぜ、3回まで被安打0に抑えた。中盤以降は球数が増え、「途中から腕が重くなって、ストレートの球速も遅くなった。その中でもコースを考えて投げられたのは良かった」と、走者を出しながらも落ち着いた投球を続けた。9回2死まで無失点で抑える好投で勝利投手となり、優勝に大きく貢献した。

 熱闘の裏には同僚の存在があった。「1戦目、2戦目で田村、由上が頑張ってくれたので、ここで勝ち切らないといけなかった。とても安心した」とほっとした表情を見せた。

挫折を乗り越えて見えた、次なる目標

 二宮にとっては大きな挫折を経験し、乗り越えた4年間だった。

1年時には右肘じん帯断裂による手術で、投げることができない期間も経験した。「術後のリハビリは地道なトレーニングが多くてしんどかった。投げられるようになった後も実力不足で試合に出ることができずに悔しかった。正直、腐りかけていた」。そんな中、田村と由上の同学年投手2人の存在が支えになったという。「2人に実力で負けているのはわかっているが、同学年投手が3人の中で2人が注目されていたので、負けたくはなかった。2人がストイックに練習している姿を見て、このままではいけないと思った。今年は4年間の中で一番集中した年だった」と語る。

 卒業後はJABA東京都連盟に所属するクラブチームNbuy硬式野球部で野球を継続する。「これまでの野球人生は、後悔していることばかりで、もっと頑張ればよかったと思っている。これからは同い年の2人に負けないくらいの投手になれるように頑張りたい」。挫折を乗り越えた右腕が、新天地でも腕を振り続ける。

(川瀬 正浩)

 ◆二宮 知也(にのみや・ともや)2003年5月10日、奈良県生まれ。22歳。プロ野球の試合を見たことをきっかけに、幼稚園の頃に野球を始める。奈良大付属高校では、2年秋からエースとして活躍。大学では1年秋からベンチ入り。通算13試合に登板し、1勝0敗、防御率2・92。177センチ、104キロ。

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