東京六大学、東都大学の4年生の進路が、ほぼ出そろった。「サンデー晋吾」の愛称で親しまれた元ロッテ投手の小野晋吾氏(50)を父に持つ立大の小野馨子(けいこ)マネジャー(女子聖学院)は「ファイターズスポーツ&エンターテイメント(S&E)」で、日本ハムの本拠地・エスコンFを中心とした街づくりに挑戦する。

 小1の秋。小野は家族と名古屋市内のホテルにいた。サブロー選手会長による「日本一おめでとう!」のかけ声を合図に、ビールかけが始まった。10年11月7日。パ3位のロッテは中日との日本シリーズ第7戦で延長12回の死闘の末、下克上で頂点へ。会場外の家族スペースから歓喜のパパを見届け、心が弾んだ。

 「日本一とかよく分かっていなかったんですが…すごく記憶にありますね」

 物心ついた時から、日曜日の午後は野球場にいた。マウンド上で父が腕を振るたび、隣の母は両手を合わせ、祈った。ワクワクとドキドキが交差する野球が、好きになった。中高一貫の女子校だったが、高校野球のマネジャーになりたくて共学校受験を志し、反対された。「大学で目指そうと」

 入学時、立大は女子マネジャーの募集をしておらず、断られた。4月から「毎日のようにこっそりグラウンドへ見に行って」。

6月、便箋4枚に熱意をつづり、溝口智成監督(当時)のクルマに張り込んだ。4時間後、「すいません!」と入部を直談判した。「そういうこと、できるタイプじゃないんですが…」。入部後は寮生活。チームに尽くした。

 就職活動は食品業界や航空会社などを回り、内定も得たが、ファイターズS&Eが新卒採用していると知り、迷わず動いた。最終面接で訪れたエスコン周辺の雰囲気に魅了された。入社を決めると、晋吾さんも「頑張ってこい」と背中を押してくれた。「足を踏み入れた方に、ワクワクドキドキを感じていただける人材になっていきたいです」と小野。いざ北の大地へ。最高のボールパークで、日本一に貢献する。(加藤 弘士)

 〇…2世選手では、ソフトバンク4軍監督の大越基氏(54)を父に持つ立大・大越怜投手(東筑)が、RKB毎日放送でテレビマンとしての第一歩を踏み出す。

元ロッテ投手の渡辺俊介氏(49)の長男で、東大のエースだった渡辺向輝(海城)は一般就職する。また、日本ラグビー協会の清宮克幸副会長(58)の次男で、日本ハム内野手の幸太郎(26)が兄にあたる早大・清宮福太郎外野手(早実)は、大手広告会社・電通でビジネスマンの道へ進む。

 ◆小野 馨子(おの・けいこ)2003年7月22日、東京・荒川区生まれ。22歳。女子聖学院中、高では生徒会長。立大では観光学部交流文化学科で学ぶ。趣味はサウナ、旅行。特技は書道。身長157センチ。右投右打。

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