1月から総務省消防庁の山火事通知の仕組みが改正され、新たに「林野火災注意報・警報」を市町村が出すことができるようになった。昨年までは、林野火災であっても、それ以外の市街地など広範囲な地域全体での「火災警報」として発令せざるを得なかったため、山林火災の危機が迫っていたとしても出しづらい実情があった。

2024年冬~25年春にかけて、岩手県大船渡市などで多発した山林火災に対処する制度だ。

 その制度に対応し、気象予報会社ウェザーニューズ社が自治体・消防向けに山火事の危険度を予測するサービス「林野火災発生危険度予測システム」を開始した。同社陸上気象事業部の佐藤修一さんによると、市町村に気象庁のデータ以外にも同社がデータを提供し、注意報・警報を的確かつ迅速に判断する手助けをするのだという。

 新たな「山林火災注意報・警報」は、住民に負担の罰則は原則なし。佐藤さんは「昨年は火災気象通報が市町村に10~20万回くらい出ているんですが、実際発表されているのは50くらいなんです。住民に火を扱うことへの罰則が科されていたで、自治体も二の足を踏んでいた」と説明する。農家で火焼きしないと生活が成り立たない人などもいてケアが必要だったが、新たな警報は自治体として発令しやすい環境となっている。

 そうなると、焦点は「注意報・警報を出す材料が十分にあるかどうか」。気象庁は、新設の注意報を出す目安として「過去3日間で、降水量1ミリ以下、かつ30日間で30ミリ以下」「前3日1ミリ以下かつ気象庁の乾燥注意報発令されている」ことなどを挙げているが、地形や風向きなども地域によって違うため、各地の特性によって自治体独自の判断も求められる。

 ウェザーニューズ社では、発令のための情報をサポートするため、今回のサービスを開発。気象予測技術と詳細な森林の現況データを組み合わせることで、72時間先、1キロメートル単位での「発生危険度」と「延焼危険度」を予測する。「発生危険度予測」は、火種があれば燃焼が始まる可能性が高まる日時を予測。

「林野火災発生危険日」として判定される仕組みだ。「延焼危険度予測」では、火災が発生した場合に、火が急速に燃え広がる可能性が高まる日時を予測。延焼速度が毎時400メートル以上となる条件の日を「林野火災延焼危険日」として判定する。

 サービスを利用すると、各地域の消防関係者は、山火事リスクの高い場所や時間を正確に特定。消防関係者はリスクが高まるエリアや日時を正確に把握することで、林野火災注意報・警報の発令の判断や、パトロール・住民への注意喚起などを迅速に行える。また、延焼危険度を元に優先的に消火活動をするべき場所を把握でき、山火事の被害軽減にもつながる。

 「すでに270の自治体・消防関係に説明会を実施しました」と佐藤さん。今年も、大分などですでに広域山火事も発生。昨年のような広域の山火事被害を減らすべく「今後も改良を重ねて、全国各地で使っていただけるようにしていきたい」と話していた。

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