現存12天守のひとつ、福井県坂井市にある丸岡城天守のふもとで1月11日、江戸時代の丸岡藩の正月儀式に習い、火縄銃で祝砲を放つ「元朝吉祥(げんちょうきっしょう)」が行われた。

 甲冑(かっちゅう)姿の8人が、雨風や強風、粉雪の悪天候を物ともせずに、新春の祝いと地域の安寧を願い、火縄銃を撃ち、「ボーン」「バァーン」と城下に計65発の号砲を轟かせた。

坂井市の池田禎孝市長、林晃司教育長も見守る中、約50人の坂井市民らも迫力ある祝砲に歴史の重みを感じていた。

 丸岡藩では江戸時代の元禄8(1695)年に先代藩主の本多家に代わり、翌年に有馬清純が新藩主として入城。九州時代から、有馬家で代々にわたり継承されてきた、火縄銃を放つ正月儀式「吉祥」を、丸岡藩に移ってからも続けていた。元旦の明け六ツ時(午前6時ごろ)、丸岡城大手門前で鉄砲隊が5発の祝砲を放っていたとされる。その模様は江戸時代の絵画にも描かれており、令和の時代の2022年に、市民団体「丸岡城天守を国宝にする市民の会」が故実に着想を得て新たに再現させた。

 池田禎孝市長が「この丸岡城ゆかりの元朝吉祥にならい、五穀豊穣、家内安全を祈りたい。坂井市も今年は市政20周年を迎える年、いい新年の始まりとなると思う」とあいさつ。続いて火縄銃を持った8人が整列し、初めにほら貝を持った隊員が前に出て、邪気を払う舞を見せながらほら貝の音を響かせた。続いて、陣羽織姿の鉄砲隊長、西浦進さんの合図を元に、立ち撃ち、腰撃ち、狭間(さま)撃ちなど5種類の発砲を披露。西浦さんが「撃ち方用意」、「弾込め」、「火縄つけ」…「放てぇ!」と順に号令をかけると、白煙とともに「ボーン」「バズーン」などの轟音が上がった。

 一斉射撃のほか、8人が順番に放つ順射も行われた。見物客らは火縄銃から一瞬出る火花や轟音などの迫力に、「おー」と驚きの声を上げていた。

鉄砲隊は合わせて65発の空砲を放ち、周囲に火薬のにおいが漂うとともに、丸岡城下に新春の祝砲が響いた。越前火縄銃保存会長の西浦さんはこの日の元朝吉祥の出来について、「5回目の今年が一番の悪天候の中での演武だったが、何とか隊員たちがうまく火縄銃を放ってくれた。地元の安寧はもちろん、個々の目標達成を祈願できたと思う。この正月恒例の火縄銃演武を通して、丸岡城を世界に発信していきたい」と振り返っていた。

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