あの笑顔が忘れられない。ダイワメジャーといえば、真っ先に思い浮かぶのが主戦だった元騎手の安藤勝己さんだ。

06年春から主戦となり、07年の引退までコンビでG1・4勝。その06年末の有馬記念直前にインタビューした時だった。「俺のすごい好きなタイプなんだよ。ガツンと行っても最後まで止まらない。瞬発力勝負にしないように少し強引でも、速いペースで行った方がいい」。特徴を最大限に生かすため、常識の枠にとらわれない“肉を切らせて骨を断つ”先行策。手の内に入れた名手が皐月賞馬をよみがえらせた。

 この特徴は子供たちにも受け継がれた。産駒のデビューは11年。多くは530キロ前後あった父のDNAが透けて見えるような筋骨隆々の馬体だった。12年のNHKマイルCで初年度産駒ながらG1タイトルを手にしたカレンブラックヒルを始め、アドマイヤマーズやメジャーエンブレムなど19年までにG1を勝ったのべ8頭中、7頭が4角で4番手以内。8頭中、上がり33秒台を出していたのは2頭しかいなかった。

最後まで末脚を絞り出すように踏ん張り通す子供たちが多かった。

 息の長い種牡馬生活で15世代が走り、産駒は歴代11位の1365勝。ただ、この勝利数は数字以上の価値があると思う。産駒がデビューした11年、いや、現役時だった03~07年あたりも日本競馬はディープインパクトを中心とした“軽さ”が重要視されていた。それとは全く正反対の“力強さ”を武器にしながらも現役時代にG1・5勝、子供たちが歴代11位の勝利を挙げたことは高いポテンシャルを物語っている。

 2、3歳馬のPOG取材では「ダイワメジャーっぽい」という表現をよく聞いた。それは早い時期から活躍が見込めそうで、がっちりとした馬体の持ち主という意味。その特徴が代名詞になる馬も多くはいない。時代に逆行しながらも、数字以上の存在感を放ち続けた25年間。その足跡は日本競馬の大事な1ページとなっている。(山本 武志)

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