衆院選は8日に投開票が行われる。維新王国・大阪で与党VS与党の仁義なき戦いが繰り広げられている。

注目区・5区では日本維新の会の前職・梅村聡氏(50)に対して、同区として30年ぶりに独自候補を立てた自民党が、元議員の杉田水脈氏(58)を担ぎ出した。24年10月の前回衆院選では府内19小選挙区で維新候補が全勝。与党が与党の牙城を崩すことはできるのか。

 自維それぞれの候補者がガソリン暫定税率撤廃などの功績、そして、高市早苗首相の改革のアクセル役としての立場を訴える。大きな争点や対立軸はないように思える。70代男性も「どっちも同じこと言うとるな」と苦笑いで演説を見つめていた。

 そんな大阪5区に高市首相がやって来た…と思いきや、よく見れば等身大のパネルだった。杉田氏は、このパネルと必ずツーショット。「やりにくいですよ。連立相手を叩くなんてホンマはイヤ。でも、自民党の立場で高市さんのやりたいことを主張していくしかない」。首相は無派閥だが、自身のポスターには「自民党高市派」の文字。

地盤がない代わりに、24年9月の総裁選から推薦人を務めた“側近ぶり”を強くアピールしていた。

 関係者によると、高市氏は「維新に遠慮して」大阪入りしないという。杉田氏も「兵庫は来て大阪は来てはらへんから…そういうことなんでしょうね」と、応援が実現せず危機感を募らせる。一方で陣営はハイテンションだ。幹部が愉快そうに話す。

 「劇薬やな。灯の消えてた商店街に大型店が来た感じ。北海道から『家の中で貼りたいから杉田さんのポスターくれ』っちゅう連絡が来て、九州からも『ボランティア行きたい』って問い合わせがくる。こんなん、今までなかったな」

 いわゆる「公明区」であった同区で、自民が独自候補を擁立するのは30年ぶり。「テーブルの上では連立組んでるかも分からんけど、足元は蹴り合いやからね」と同幹部。特に地方議会で大阪自民は維新に散々痛い目に遭ってきた。打倒維新へ、士気は非常に高い。

 維新・梅村氏はどうか。「連立を組むからお互いに遠慮し合うというのは、かえって有権者の選択肢を狭めることになる。今までの(選挙区調整)は自民党と公明党のカルチャー」と連立パートナーを批判し、ガチンコ勝負を歓迎した。

 同区では、公明党と立憲民主党が合体した中道改革連合が候補者擁立を見送った。公明の支持母体・創価学会は自主投票を決めている。「私の経験上、政党や支持団体が自由になった場合は、ほぼ満遍なく動くことになる。逆に言うとそういう方々に『梅村はこういう候補者です』と地道に訴えるしかない」。タカ派の印象が強い杉田氏ではなく、立民の前身の一つである旧民主党の参議院議員でもあった自身への投票を呼びかけている。この公明票の行方もカギを握りそうだ。

 〇…れいわ新選組共同代表の大石晃子氏(48)も同区で3期連続の当選を目指す。同党の山本太郎代表(51)が病気療養のため参議院議員辞職を表明。代わって全国を飛び回っている同氏は「大阪5区でどうこうより、全国の皆さんに何を伝えるかという順番で考えている」。

過去2回はいずれも比例復活。選挙区に張りつくことができないジレンマと闘いつつ、党の顔としての役割を担っている。

 ◆大阪5区(大阪市此花区、西淀川区、淀川区、東淀川区)立候補者

 梅村 聡  50 維前〈1〉

 大石 晃子 48 れ前〈2〉

 前田 英倫 51 国新

 松山 恵子 52 参新

 湊  隆介 42 共新

 杉田 水脈 58 自元〈3〉

※敬称略、届け出順。年齢は投開票日現在。

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