阪神は12日、石井大智投手(28)が同日に沖縄から帰阪して大阪府内の病院を受診した結果「左アキレス腱(けん)損傷」と診断され、WBC日本代表を辞退する旨をNPBに申し入れたと発表した。西武・平良に続く出場断念で、侍ジャパンは緊急事態に見舞われた。

石井は11日に行われた宜野座キャンプの紅白戦登板中に患部を痛めて緊急降板。少なくとも前半戦での復帰は絶望的な状況になり、藤川球児監督(45)は大粒の涙を流しながら復活を願った。

 誰にとっても衝撃的な事実だった。西日が差し込む沖縄・宜野座村のキャンプ地。球団広報が「左アキレス腱(けん)損傷でWBC出場辞退」と石井の現状を発表すると、報道陣も言葉を失い静まり返った。左ふくらはぎ肉離れのため11日に辞退が発表された西武・平良に続く悪夢。井端ジャパン勝利の方程式の一角が、また崩れた。

 今季初の実戦登板となった11日の紅白戦。1―4の3回にマウンドへ上がった右腕は無死一、二塁から前川に右前打を浴び、バックステップを踏みながら本塁後方へカバーに行った際に負傷した。車いすに乗って球場を後にし、その後はチーム宿舎で治療。関係者の誰もが軽症を祈ったが、現実は残酷だった。全治は明らかになっていないが、右投手にとって強く踏み込む左足の大けがで、夢だったWBC出場を断念した。

一般的にアキレス腱損傷は復帰までに6か月を要するとされており、少なくとも前半戦での復帰は絶望的な状況だ。

 藤川監督は右腕の心情をおもんぱかり、大粒の涙を流しながら計1分間も絶句した。「ギリギリの自分の力を、最大限発揮して普段からプレーしているから。彼の人生の中で少し止まって、さらに強くなって帰ってくるというところ。これは監督としてというよりアスリートの気持ち。素晴らしいアスリートですから。また復活する時をね…」。何度も言葉に詰まりながら石井の心に思いを届けた。

 昨季50戦連続無失点のNPB新記録を樹立した最強右腕の長期離脱。井端ジャパンにとっても、藤川阪神にとっても大打撃だが、今は信じて待つしかない。いくつもの試練を乗り越えてここまできた男なら、この壁も必ず乗り越えられる。(中野 雄太)

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