第4回は17、23年に続く3大会連続出場となるパドレス・松井裕樹投手(30)。楽天で築いた不動の守護神の座を捨て、さらなる成長を求めて24年からメジャーに挑戦。

1年目は苦労したピッチクロックも対策し、今は万全となった。昨季途中から手応えをつかんだスイーパーも新たな引き出しとして加わった。培った経験を惜しみなく還元し、救援陣をけん引する。(取材・構成=長井 毅)

 松井は過去2大会で4試合、計3回2/3無失点。今回もゼロ行進が期待される。井端監督は先発、第2、第3先発で「7、8回まで」イニングを消化し、9回は救援のスペシャリストに託す方針を示している。

 「どこを投げたいとか、希望はないですね。どこでもいいですし、肩ができるのが早いので問題ない。こっち(メジャー)では3回から延長10回まで、どこでも投げたことがあるので、いつでも、どこでも呼んでくださいって感じです」

 パドレスで2年連続60登板の経験から、今大会で適用されるピッチクロックも苦にしない。

 「(配球のデータなど)なるべく簡潔なポイントだけを持ってマウンドに上がらないといけない。(移籍1年目は)やばい! あと1秒しかない! みたいなこともあった。サインも早く出してもらわないといけないですし、自分で(ピッチコムのボタンを)押すという手もありますけど、首を振ると時間がないので、バッテリーの意思疎通が大事。

普段組まない捕手となると、なおさらです」

 投球のカギとなりそうなのが、昨季途中にパドレスのニーブラ投手コーチに握り方で助言をもらった新スイーパーだ。

 「日本の時は真っすぐとフォークだけで抑えられたんですけど、カウントを取れるように(改良した)。シーズン中に投手コーチとグリップ(握り方)を変更して、スピン量が2800から3000まで上がったんです。それでいい動きをするようになった」

 真横に滑るような一般的なスイーパーと、外角低めに落とすフォークの中間の軌道で「カーブのように動く」という、松井流スイーパーは決め球にもなる。

 「理想は見逃してもストライク。振ってもストライクみたいな、ぎりぎりを攻められる“渋い球”です」

 準々決勝以降はマイアミに移動し、ローンデポ・パークでの試合。準々決勝ではパドレスで同僚のマチャドらを擁するドミニカ共和国と対戦する可能性もある。マイアミは南米出身者が多く日本にとっては「スーパーアウェー」となることが濃厚。南米出身選手の怖さを率直に語った。

 「勢いに乗せたらやばいですよね。うちにいる2人も。気分良くプレーさせるとダメ。

身体能力はもちろん高いですし、大舞台になればなるほど気持ちが入ってくると思う。そんな選手が9人いるじゃないですか。乗せないようにしないといけない」

 宮崎合宿開始前に西武・平良、阪神・石井と故障による出場辞退が相次いだ。

 「チーム全員で1つになって目の前の試合を勝てるように頑張りたいです。チームに貢献できるように全力で戦いたい」

 ブルペンリーダーとして自覚を口にした松井。求められる役割は小さくない。

 ◆松井 裕樹(まつい・ゆうき)1995年10月30日、横浜市生まれ。30歳。桐光学園から13年ドラフト1位で楽天入り。2年目に抑えに転向し19、22、23年に最多セーブのタイトルを獲得。23年オフに海外FA権を行使し、パドレスに移籍。17、23年WBC侍ジャパン代表。

173センチ、75キロ。左投左打。家族は妻で女優の石橋杏奈との間に1男2女。

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