2月20日は、昨年6月3日に89歳で亡くなった長嶋茂雄さんの「生誕90年」にあたる。巨人での現役、そして監督時代と、キャンプ中にバースデーを迎えることが多かったミスターには、秘蔵のサービスショットが数々残されている。

「初めての還暦を迎え…」の名(迷?)言で知られる96年の赤いちゃんちゃんこ姿をはじめ、在りし日の長嶋さんを振り返った。

 1996年2月20日、キャンプ地・宮崎は祝福ムードに包まれた。長嶋さんが60回目の誕生日を迎えたのだ。花束50束、伊勢エビ・アワビなどの海産物、100通以上の祝電―。宿舎は、全国の知人や関係者から贈られたプレゼントで埋まった。

 宮崎市営球場(現ひむかスタジアム)隣接のブルペンでは記念撮影会が行われた。真っ赤なちゃんちゃんこを着た長嶋さんが扉の向こうから現れると、二重三重の報道陣から「オーッ」と歓声が上がった。笑顔のミスターは「初めての還暦を迎えまして…」と喜びを口にした。

 「長嶋さんはあの時、120歳まで生きるつもりだったんです」と振り返るのは当時監督付広報だった小俣進さん(74)。120歳を迎えた人は「大還暦」と呼ばれる。「それを知っていたんです。『2回目(の還暦)があるから、初めてだと言ったんだよ』と話していました」(同)。

60年を2回りする自身の姿を思い描いていた。

 撮影会で赤いちゃんちゃんこを用意したのは本紙だった。当時写真部の成海晃が自宅近くの百貨店で購入し、キャンプ地に持ち込んだ。「長嶋さんは『素敵なちゃんちゃんこですね~』とずいぶん喜んでくれました」。成海にとっては、今も自慢の思い出だ。なお、この年の長嶋巨人は広島との11・5ゲーム差を大逆転してリーグ制覇する「メークドラマ」を成し遂げた。

 ◆長嶋 茂雄(ながしま・しげお)1936年2月20日、千葉県生まれ。佐倉一高(現佐倉高)から立大を経て、58年に巨人入団。74年に現役引退。翌75年には監督に就任し80年に退任。93年に復帰し、2001年を最後に勇退した。88年に野球殿堂入り。

13年に松井秀喜氏とともに国民栄誉賞を授与された。21年、野球界で初めて文化勲章を受章。現役時代の通算成績は2186試合に出場して2471安打、444本塁打、1522打点、打率3割5厘。選手としてV9を含む11度、監督として2度日本一に輝いた。

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