高市早苗首相(64)は20日、国会で施政方針演説を行った。(4)

 「強い経済」を基礎として、「強い外交・安全保障」も確立していきます。

 国家間の競争が激化・複雑化・常態化し、私たちが慣れ親しんだ自由で開かれた安定的な国際秩序は、いま、大きく揺らいでいます。

 そうした中、我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面しています。中国は、東シナ海・南シナ海での力又は威圧による一方的な現状変更の試みを強化するとともに、我が国周辺での軍事活動を拡大・活発化させています。北朝鮮は、核・ミサイル能力の向上を引き続き追求しています。

 ロシアによるウクライナ侵略はいまだ継続しています。そのロシアに北朝鮮は兵士を派遣し、その見返りとして、ロシアから核・ミサイル関連技術が移転されるおそれがあります。中国は、ロシアとの軍事的連携を強化しています。さらに、外交・安全保障の舞台は、宇宙・サイバー空間、認知領域といった新たな領域にも広がっています。 こうした中、必要なことは、我が国が自ら考えてハンドルを握り、長期的目線をもって、どこに向かっていくのかを決めることです。そして、外交と防衛を車の両輪として、我が国の独立と平和を守り抜くとともに、分断と対立の進む世界を開放と協調に導き、日本と世界が共に繁栄していくよう、積極的に役割を果たさなければなりません。

 高市内閣では「平和と繁栄を創る『責任ある日本外交』」を展開していきます。今年は、安倍晋三元総理が「自由で開かれたインド太平洋」を提唱してから十年です。

この間の地政学的な競争の激化、AI・デジタルなどの加速度的な技術革新とその覇権争いといった変化を踏まえると、各国が自律性と強靭性を強化する必要性が高まっています。データ基盤や重要物資のサプライチェーン強靱化といった経済基盤の強化、官民一体での経済成長の機会創出、政府安全保障能力強化支援、いわゆるOSAやODAの規模拡大を通じた地域の平和と安定のための連携拡大など、FOIPの取組を戦略的に進化させていきます。「インド太平洋を、強く豊かに」していきましょう。

 ルールに基づく自由貿易体制の維持・拡大は、我が国の経済外交の柱です。CPTPPについて、戦略的観点から、その高い水準を堅持しつつ、締約国の拡大及び協定改定を目指すとともに、ASEANやEUとの更なる連携の可能性を模索していきます。

 日米同盟は、日本の外交・安全保障政策の基軸です。可能であれば来月にも訪米します。トランプ大統領との信頼関係を一層強固なものとし、安全保障、経済、文化など、あらゆる分野で日米関係を更に強化していきます。加えて、東アジアをはじめとする各地域の課題について、連携しながら取り組みます。

 在日米軍の円滑な駐留のためには、地元を含む国民の皆様の御理解と御協力を得ることが不可欠です。沖縄県を含む基地負担軽減に取り組みます。特に、普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます。

沖縄の皆様の思いに向き合い、沖縄経済の強化に向けた取組を継続します。

 また、日米同盟を基軸に、自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的価値や原則を共有する国々と手を携えてまいります。日米韓、日米フィリピン、日米豪、日米豪印などの多角的な安全保障協力を深めてまいります。さらに、ASEANや欧州諸国とも、世界の様々な課題に共に取り組んでまいります。

 韓国については、先月、李大統領を日本にお迎えしました。現下の戦略環境の下で重要性が高まっている中、首脳間の信頼関係を基礎とした率直な意見交換を通じて、更なる関係強化を図っていきます。

 中国とは、戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築していくことが、高市内閣の一貫した方針です。重要な隣国であり、様々な懸案と課題があるからこそ、意思疎通を継続しながら、国益の観点から冷静かつ適切に対応してまいります。

 北朝鮮による全ての拉致被害者の御帰国を、私の任期中に実現したい。そのように強く決意しています。金委員長との首脳会談をはじめ、あらゆる選択肢を排除せず、突破口を開くべく取り組んでいます。また、我が国にとって従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威となっている核・ミサイル開発は、断じて容認できません。

 ロシアによるウクライナ侵略を早期に終結させることが重要です。そのために、ウクライナの意思を最大限尊重しながら、同志国とともにウクライナを支えていきます。また、日露関係は厳しい状況にありますが、領土問題を解決し、平和条約を締結するという日本政府の方針に変わりはありません。

 防衛力 国家安全保障戦略をはじめとする「三文書」の策定以降、新しい戦い方の顕在化、長期戦への備えの必要性など、安全保障環境の変化が様々な分野で加速度的に生じています。我が国として、主体的に防衛力の抜本的強化を進めることが必要です。このため、本年中に三文書を前倒しで改定します。

 また、航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改編するとともに、「宇宙作戦集団」を新たに編成します。給与体系の改定をはじめ、防衛力の根幹である自衛官の処遇改善も進めます。

 我が国にとって望ましい安全保障環境を自ら創出していくための取組も必要です。防衛装備移転に関し、三原則におけるいわゆる五類型の見直しに向けた検討を加速させます。これは、同盟国・同志国の抑止力・対処力強化に資するとともに、我が国の防衛生産基盤や民生技術基盤の強化にもつながるものです。

 あわせて、防衛調達側のニーズをしっかりと産業界に伝え、スタートアップも含めた企業が、技術開発、量産化、新市場開拓に積極的にチャレンジできる環境整備も進めます。

防衛力の抜本的強化を補完すべく、海上保安能力やサイバーセキュリティ対策についても、一層強化していきます。 六 情報力 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境において、我が国の国益を守るためには、質が高く、適切なタイミングを捉えた情報の収集・分析を行うとともに、それらをハイレベルで集約し、高度かつ的確な意思決定を行う必要があります。インテリジェンスの司令塔機能を強化すべく、内閣総理大臣を議長とし、関係閣僚から構成される「国家情報会議」を内閣に設置します。また、内閣情報調査室を「国家情報局」に格上げし、関係機関からの情報を集約し活用します。その分析結果も活かし、外国からの不当な干渉を防止するための制度設計を進めるなど、必要な対策を講じます。 

 教育・人材育成・若者支援 国力、特に経済力の基盤となるのは人材力です。高市内閣では、人材力を強化していきます。

 教職員の働き方改革を一層進めるとともに、指導体制の充実を図り、人づくりの礎である教育の質を向上させていきます。いわゆる教育無償化について、今年四月からの実施を目指します。あわせて、全ての高校生が多様で質の高い教育を受けられるよう、高校教育改革を進めます。

編集部おすすめ