第10回は、2大会連続出場となるDeNAの牧秀悟内野手(27)。前回は大谷(ドジャース)とのグラウンド内外での軽妙なコミュニケーションや試合前の「声出し」などでムードメーカー的な役割を果たしたが、プレーヤーとしては不完全燃焼に終わった。

その後の3年間で大きく成長したハマの主砲が、今回は中軸として侍ジャパンを連覇に導く。(取材・構成=星野 和明)

 井端ジャパンを最も知っている男だ。井端監督が指揮官として、国際大会デビューを飾った23年の「アジアプロ野球チャンピオンシップ」に始まり、24年の「プレミア12」、昨年の「侍ジャパンシリーズ 日本vs韓国」と、立て続けに日の丸を背負い、メジャー組不在の侍ジャパンを支えてきた。

 「堅実に、まず守備から入るのが井端監督の野球だと思う。攻撃面ではバントをするときはするけど、選手を信じて打たせてくれるケースもある。でも、どちらかというと確実性重視かな」

 そんなディフェンス優先の指揮官に、今大会の招集にあたって直訴したことがある。これまで井端ジャパンでは一塁やDHが多かったが、今回は本職の二塁手として勝負する。

 「『二塁でいかせてください』と伝えました。監督からも『その準備をして来てくれ』と」

 もちろん準備にぬかりはない。オフには体重を4、5キロ絞り、DeNAの宜野湾キャンプでは第1クールから早出特守に取り組んだ。

 準備の大切さは、前回大会で痛感したことでもある。1次ラウンドの中国戦とチェコ戦でアーチも、大会通算では打率2割。

世界一の瞬間はベンチで見届けた。個人として結果を残せなかった原因を「準備不足」と捉えている。

 「早めの準備が必要だと思った。体よりも心の準備を、前回より早めにしてきたつもり。連覇がかかる今回のプレッシャーは前回以上だろうから」

 前回大会で間近に接した大谷からも、準備の大切さを学んだ。

 「打席での考え方がすごく参考になった。速い真っすぐに対する準備を大切にしていると言っていた。今回もいろんなことを話せたらと思ってます」

 もう一人、話を聞きたいメジャーリーガーがいる。前回は負傷で参加できなかった鈴木誠也カブス)だ。

 「同じ右打者で、メジャーで活躍している日本人選手はいない。160キロをホームランにするし、勝負強さもすごい」

 万全の準備で二塁のポジションを勝ち取り、連覇を狙うチームの重要なピースになる―。目標は明確だ。

 「今度は最初から最後まで出て、チームを勝たせるような選手になりたい。世界一の瞬間を二塁の守備位置で迎えられたら理想的ですね」

 世界一軍団の二塁手となった先には、もうワンランク上の夢が待っている。昨年12月の契約更改後に、将来のメジャー挑戦について聞かれ、「やってみたいな、という気持ちはある」と答えた。WBCは「打って守れるワールドクラスの二塁手」を証明する場でもある。

 「一番は侍ジャパンの優勝で、個人のことはさておきですけど、アピールの場ではあるので、そういうことも考えつつ、まずチームの勝利に貢献したい」

 世界一を手土産に、DeNAを自分が生まれた98年以来のリーグ優勝に導く。そしてその先の夢へ―。壮大なストーリーを胸に抱き、大舞台に臨む。

 ◆牧 秀悟(まき・しゅうご)1998年4月21日、長野県生まれ。27歳。松本第一―中大から20年ドラフト2位でDeNA入り。21年に新人では球団初となる打率3割をマーク。23年に打点王と最多安打のタイトルを獲得。

24年には主将としてチームを日本シリーズ制覇に導いた。178センチ、97キロ。右投右打。推定年俸2億5000万円。

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