◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 WBCの前回大会で侍ジャパンを世界一へ導いた栗山英樹前監督が1月15日、2026年野球殿堂入り(競技者エキスパート表彰)を果たした。野球殿堂博物館での通知式は、日本ハム初代球団社長の三原脩さんのレリーフ前で行われた。

 カメラマン数が制限され、代表撮影で入った館内は、静かで厳かな空気が流れていた。レリーフに手を添えるよう頼むと、栗山さんは三原さんのレリーフに「すみません」と声をかけて深々と頭を下げた。

 「一緒に横に並ぶのは失礼な話なんですけど、ちょっとだけ三原さんに近づけたのは幸せです。ありがとうございます」と繰り返し、3度も頭を下げる姿に、先人と野球への敬意がにじんでいた。館内に並ぶレリーフを一つ一つ丁寧に見つめる様子からも誠実な人柄が伝わり、静かな空気ごと写真に残したいと思い、身が引き締まった。

 自身のレリーフが飾られる場所を確認し「全然実感がわかない」と栗山氏。通知式でも「正直、自分みたいな人間が入っていいのかという思いは、いまだにあります。この賞は、これからの野球人のためにしっかり働きなさいという、そういうことだと思っています」と続けた。栄誉の場に立っても野球と周囲への敬意を忘れない姿勢が、この人らしさなのだろう。

 日本ハムを日本一、侍ジャパンを世界一へ導いた名将の視線は、未来へ向けられている。栄誉の瞬間を撮る現場でレンズ越しに見えたのは、次の世代へ野球をつないでいこうとする、一人の野球人の姿だった。(写真担当・中島 傑)

 ◆中島 傑(なかじま・たける) 2010年入社、WBC連覇を狙う井端監督の侍ジャパンを取材中。

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