「侍語る」第12回は、日本代表に初選出されたエンゼルスの菊池雄星投手(34)。メジャー8年目、4球団で日本人左腕最多の通算48勝をマークした知見を生かし、投手陣の精神的支柱としても期待される。
球界屈指の理論派は、同時に「情の人」でもある。
話は昨年1月にさかのぼる。雄星が岩手・花巻市内に自らプロデュースした、屋内複合野球施設「King of the Hill」(KOH)に、井端監督がやってきた。
代表入りの打診だった。
「『2025年、どんな成績であろうと呼びたい』という話を、その場でしていただいて。その一言だけで、僕は十分でした。行く決断をするには十分な言葉だったので」
同時に「宮崎合宿から来てほしい」とのリクエストもあった。MLBで経験したピッチクロックやピッチコムについて、若い投手たちに話をしてもらいたい。年長者として、投手陣をまとめてもらいたい―。
エンゼルスとの規定上、合宿初日の14日からの合流はかなわなかったが、弾丸帰国で宮崎入り。
「非常に楽しい3日間でした。3日間のために無理して来る必要があるのか、ちょっと悩みましたけれども、ただ来て、食事会もできたりとか、名古屋、大阪と入っていくとどんどん試合モードに入っていきますから、宮崎で3日間過ごせたのは大きかったですね」
広い視野で物事を見られるのは、日米で経験豊かな34歳ならでは強みだ。チームとしての一体感の醸成に心血を注ぐ。
「まずはお互いを知ること。どうしても硬くなってしまうので、選手だけではなく裏方さん、サポートの選手もみんなが安心安全な場所にするというのが、パフォーマンスを出す上で一番大事だと思う。コミュニケーションは、みんなと取っていきたいと思います」
岩手で過ごした幼少期、松井秀喜さんに憧れた。同じ左打者。フォームもまねた。両親に頼んで巨人のファンクラブに入会した。タオル、サインボール、下敷き…。
「野球人口が減っている中でもう一度、子供たちに『プロ野球選手になりたい』『野球やってみたい』と思ってもらえるスポーツにすることが、一番のモチベーションです。世界一になって、そんな思いになってくれる子供が、一人でも増えたらなと思います」
初めて袖を通す日の丸のユニホームへの思いに、卓越した言語化能力を誇る男が、表現に苦しんだ。
「うれしいという気持ちよりも、うーん、なんて言うんでしょうね。言葉にできない、と…」
胸いっぱいの熱情を力に変え、威風堂々と左腕を振り抜く。その姿は次世代の心を熱くして、新たな憧れを生み出すに違いない。
◆菊池 雄星(きくち・ゆうせい)1991年6月17日、岩手・盛岡市生まれ。34歳。花巻東3年時の09年にセンバツ準V、夏4強。










![Yuzuru Hanyu ICE STORY 2023 “GIFT” at Tokyo Dome [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/41Bs8QS7x7L._SL500_.jpg)
![熱闘甲子園2024 ~第106回大会 48試合完全収録~ [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/31qkTQrSuML._SL500_.jpg)