横山典弘騎手(58)=美浦・フリー=が8日、中山競馬場で行われた中山9R・湾岸Sをマイユニバースで勝ち、JRA通算3000勝を達成した。

 誰もが心から偉業を祝福した。

武豊に続く史上2人目となるJRA通算3000勝。スタンド前に引き揚げてきた横山典は、自然と沸き上がったファンの拍手を耳にすると、満面の笑みを浮かべながら右手を挙げて応えた。

 中山9R・湾岸Sのマイユニバースで勝利し大記録を達成。「思い起こせばこの中山でデビューをさせてもらって、あれから41年たったのかと思うと本当にあっという間でした。すごい数字なんだろうけど、地道にやってここまでこられて、その数字が後からついてきたのかなと思う」。名手は感慨深げに喜んだ。

 勝利の予感がしていた。今年1月31日に東京で節目の記録に王手をかけるも、なかなか次の1勝が遠かった。だが、大ベテランらしく焦りなどは当然なし。惜しくも頭差2着に敗れた1日の中山5Rは、その日で定年引退だった根本康広調教師の管理馬が勝利。ライバルが花道を飾る形になったが「勝てるところを根本厩舎の馬に差された時に、やっぱり根本先生もすごい強運の人でダービーも勝ってるし、競馬の神様に愛された人。(それで)今日たぶんこれで勝つんじゃないかな、と感じたものがありました」。

“予言”通りに、落ち着いた手綱さばきで1番人気に応えた。

 86年にデビューして、これまでメジロライアンやサクラローレル、セイウンスカイなど数々の名馬とコンビを組んだ。日本ダービー3勝を含むG128勝は、トップジョッキーとして歩み続けてきた偉大な足跡だ。今年2月に58歳の誕生日を迎えても、その腕は衰えを知らない。「華やかな舞台で競馬に乗せてもらって、勝って皆さんに『おめでとう』とか握手してもらえるのが僕らはすごくうれしいです。だから、それが原動力だと思う」とハートも燃え続けている。

 この日のセレモニーでは、同じ騎手として活躍する長男の和生騎手が記念のパネルを持ち、三男の武史騎手から記念品のターフィー人形を受け取った。ウィナーズサークルには多くの騎手が集結。インタビューの最後には、力強く宣言した。「まだこれからジョッキーは長くやりたいと思っているので、けがなく健康でやりたいと思いますので応援よろしくお願いいたします」。時にアッと驚かせる円熟の技術で、これからもファンを酔わせ続ける。(坂本 達洋)

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