◆WBC 1次ラウンドC組 日本4―3オーストラリア(8日・東京ドーム)

 個人の結果は二の次だった。大谷は1点を追う7回先頭の4打席目。

塁に出ることで頭はいっぱいだった。1ボールから2球目の抜けたスライダーには右肘を少し出すようなしぐさすら見せた。たとえ当たってでも塁に出ようという気迫を見せ、4球連続でボールを見極め四球で出塁。すると2死一塁で吉田の逆転2ランを呼び込んだ。

 4回2死満塁の3打席目は、二塁走者の牧が飛び出してタッチアウトになる不運もあって、3打席目まで二ゴロ、中飛、右飛と音なし。第2戦までは、2戦連発を含む6打数5安打、打率8割3分3厘、6打点の大暴れ。チームを連勝発進に導き、他国の成績でこの試合前には準々決勝進出も決まった。だが、大谷に快音が響かなかったことで、直近15連勝中のオーストラリア相手に6回まで0が並び、追いかける展開になった。

 この日は、天皇、皇后両陛下と長女・愛子さまが観戦する天覧試合となった。プロ野球初の天覧試合となった1959年6月25日の巨人・阪神戦(後楽園)は、巨人・長嶋茂雄がサヨナラ本塁打を放つなど、2本塁打の大活躍で“ミスター伝説”のひとつとなった。野球を誰より愛して発展に貢献した「ミスターベースボール」を継承して球界を引っ張る大谷。長嶋さんとも親交があり、昨年6月3日に亡くなった際には同日に本塁打を放ち、「その情熱を現役の僕らが次の世代につないでいければいいんじゃないかなと思っています」と口にしていた。

結果としては魅せることはかなわなかったが、勝利に徹する姿勢をチームに示した。

 試合前には3戦連続でフリー打撃を行い、15スイングで9本がサク越え。右翼ビジョン上部の電球付近への推定飛距離約150メートルの特大弾を放ち、オーストラリアナインも目を丸くして見つめていた。打撃練習を終えるとベンチ裏に下がってすぐにバットをグラブに持ち替えて約5分間キャッチボール。慌ただしく二刀流調整をしていた。

 大会前には「出塁することが一番大事だと思うので、(バットを)振ることだけじゃなくてしっかり見極めた上で仕事ができれば」と口にしていた大谷。米マイアミでの準々決勝ではMLBのスターが並ぶドミニカ共和国、ベネズエラのいずれかとの対戦が予想される。連覇へ向けて、目の前の勝利のみを追求する。(安藤 宏太)

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