侍ジャパンドジャース大谷翔平投手(31)が12日(日本時間13日)、14日(同15日)のWBC準々決勝・ベネズエラ戦(米マイアミ・ローンデポパーク)へ、珍しく“舌戦”を繰り広げた。この日の全体練習後の会見でメジャー最後の3冠王で、ベネズエラの打撃コーチを務めるM・カブレラ氏(42)が敬遠攻めを示唆したことに触れ、同氏のサイン入りバットを触ってパワーをもらっていることを明かして応戦。

ユーモア交じりに、心理戦に乗ってみせた。

 大谷が不敵に笑った。日米だけでなく、ベネズエラ、ドミニカ共和国、韓国のメディアなど総勢約100人が集まった、準々決勝の会場ローンデポパークでの会見。カブレラ打撃コーチについて話題が及ぶと、冗談を交えながら、反撃の一発を放ってみせた。

 「東京の家に、カブレラ選手のサインバットが置いてあるんですけど、触って力をつけてきたので、力を存分に発揮したい。打てなかったら、ご利益がなかったと思って、それくらいの気持ちで頑張りたい(笑)」

 “先制パンチ”を打ったのは実はカブレラコーチだった。タイガース時代の12年には打率3割3分、44本塁打、139打点でメジャー最後の3冠王に輝き、通算511本塁打、3174安打をマークしたスーパーレジェンドだが、現役時代から大谷の実力をいち早く認め、塁上で談笑し合う姿もおなじみだった。日本との対戦が決まると、大谷に対して「歩かせるさ。四球、四球、四球、四球だよ、ハッハッハー」と高笑いし、全打席敬遠の可能性を示唆していた。大谷の反撃を伝え聞くと、「彼は史上最高の選手だからな。試合の日は(自身のバットに)触らないでくれ」と、カウンターで返した。

 この日の全体練習では、練習前にライブBP(実戦形式の練習)で登板したが、フリー打撃などは行わなかった。

ベネズエラについては「レベルは高いと思う」と警戒しながら、対戦経験の少ない投手が多いことも踏まえ「早くアジャストできるかどうかが一番お互いにとって難しいところであり、勝負のカギを握るポイント」と占った。

 マイアミは米南部に位置し、中南米から距離が近い。1次ラウンド(R)でも熱狂的なファンが集結した。準々決勝でも、23年WBC準決勝のメキシコ戦、決勝の米国戦のような完全アウェー状態も予想されるが、同球場では24年に「50―50」を達成するなど縁起はいい。「いい思い出が多くある場所。自然にプラスになってくれればというのは大いにある。いい景色で、本当にきれいな球場で、素晴らしい球場だなと思って(ライブBPで)投げた。打席から見える雰囲気も違うんじゃないかな」と心待ちにした。

 2連覇へ残り3試合。会見でジョークが飛び出すのは、気分が高まっている証拠だろう。「シーズン中通りに自分のやれるルーチンをやりたい。まずはベネズエラ戦に集中したいなというのが今の気持ち」。

敵の3冠王からもパワーをもらい、さらに恐ろしい活躍を見せる。(安藤 宏太)

 ◆大谷に聞く

 ―ラテン系(中南米系)のチームとの違いは。

 「野球に関して言えば同じルールの下でやるので、あまり変わらないというか、バッターならストライクはストライクですし、ボールはボールですし。セーフなものはセーフ。ベンチの雰囲気、セレブレーションの雰囲気は各国、色があって面白い」

 ―WBCの注目度が上がってきている。

 「東京ラウンドでもいい試合が多くて、各国いい野球をするなと思いながら、他の試合も見ていた。選手たちの情熱とか、試合にかける気持ちも見て取れると思う。国には関係なく、選手の素晴らしい情熱をファンの人たちが見ることによって少しずつ盛り上がってくれればうれしい」

 ―井端監督について。

 「井端さんは栗山さんと違う雰囲気があると思いますし、冷静にゲームを俯瞰(ふかん)して見るタイプの方なのかなと思う。選手を見て感じたのは、自立している選手が多い。一人ひとりがキャプテンであり、チームのリーダーという認識が一番大事だと思っている。そういう選手が集まっている」

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