第98回センバツ高校野球大会が19日、甲子園で開幕する。PL学園で戦後最多20勝(3敗)を挙げ、打者でも2位タイの6本塁打を放ったオイシックスの桑田真澄CBO(57)が、今大会から導入されるDH(指名打者)制について私見を明かした。

 今春のセンバツからDH制の導入が決まりました。率直な心境としては、「なぜ今なのだろう」という思いがあります。個人的には反対の立場であり、その理由は大きく二つあります。

 一つ目は、投手が打席に立つことで得られる“学び”の価値です。私自身、投手として打席に立つ中で、多くの気づきを得ました。内角に投げられた後に、外角スライダーが来るとすごく遠く感じる距離感。ストレートの後のカーブの緩急は打者として本当に打ちづらく感じました。そんな気づきがすべて自身の投球術に還元されていきました。

 例えば大谷翔平選手のように、投手と打者の両方を経験することで得られる感覚は計り知れません。打席での経験があるからこそ、より質の高い投球につながる。そうした成長の機会を失うことは、将来的に大きなマイナスになるのではないかと考えています。

 二つ目は投手としての責任感です。

自分も打席に立つからこそ、内角へ投げ込む際には「絶対に当ててはいけない」という強い覚悟と集中がありました。ところが、投手が打席に立たなくなれば、心理的な緊張感は薄れる可能性があります。打者として死球を受ける痛みを経験していない投手は、無意識のうちに打者へのリスペクトが弱まってしまう危惧を感じています。

 野球は単なるパワーやスピードの競技ではありません。大谷選手以上の体格やパワーを持つ選手は世界に存在します。しかし、それだけで結果を残せるわけではない。野球は“間”と駆け引きのスポーツです。投手が打席で体感する緊張感や読み合いは、その“間”と駆け引きを磨く重要な要素です。

 DH制が導入されても、私は投手に打席に立つ努力を続けてほしいと願っています。それが、より高いレベルの投手を育てる土壌になるからです。(オイシックスCBO)

 ◆DH(Designated Hitter=指名打者)制度 攻撃時、投手に代わって打撃専門の打者が打席に立つことで打撃戦を増やし、観客動員につなげることを狙いに1973年に米大リーグのア・リーグで採用され、75年にパ・リーグが導入。高校野球では、日本高野連が25年8月に26年の公式戦から採用すると発表し、先発投手が指名打者を兼務できる「大谷ルール」も適用される。

セ・リーグでは27年シーズンから採用。

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