◆センバツ第6日 ▽1回戦 大阪桐蔭4―熊本工(24日・甲子園

 甲子園にニューヒーローが現れた。大阪桐蔭の身長192センチ左腕・川本晴大(2年)が、6回2死まで無安打の快投を見せ、14奪三振で完封勝利。

球場表示では自己最速を1キロ更新する147キロをマークし、巨人スカウトの計測では151キロをたたき出した。センバツでの2年生投手の14奪三振以上の完封は、怪童と言われた浪商(現大体大浪商)の尾崎行雄、専大北上・畠山司以来、3人目の快挙。第2試合から2回戦となり、中京大中京(愛知)と八戸学院光星(青森)が8強入りを果たした。

 大阪桐蔭の大型左腕・川本がド派手な甲子園デビューを果たした。6回2死まで無安打投球。被安打3、14三振を奪い150球の完封勝利だ。「練習試合でも7回がマックスで100球も超えたことなかった。初めての経験をしました」。自身も驚く好投に、192センチの長身をすくめるようにして喜んだ。

 西谷浩一監督(56)の「ボールが荒れるのはしょうがないから、それを生かして投げろ」という言葉を信じた。ワインドアップで胸を張り出し上からたたく。より大きく、より高く。

自信を持って投げ続けた。

 センバツの2年生投手による2ケタ奪三振完封は、怪童と呼ばれた1961年に2戦連続で達成した浪商(現大体大浪商)の尾崎行雄、72年の専大北上・畠山司以来、54年ぶり3人目。川本が憧れるOBの前田悠伍(ソフトバンク)は22年に2度、2ケタ奪三振も完投はなかった。

 中学3年でU―15日本代表に選出され、W杯で世界一に輝いた怪物サウスポー。甲子園に行くために地元の埼玉から大阪桐蔭に進んだ。昨秋からベンチ入りすると、冬場は猛練習で体をいじめ抜いた。アップ後の全体練習の間にグラウンド10週。足首が硬い特性に合わせたウェートトレで鍛えた土台が出力を上げた。終盤のピンチでギアチェンジ。1点リードの7回1死三塁ではスクイズを試みた打者を剛球でファウルに。得点を許さず「ファウルにすることを意識してできました」と、してやったりだ。

 甲子園の球場表示は最速を1キロ更新する147キロも、ネット裏の巨人や中日のスカウトのスピードガンでは151キロと大台を突破した。

「球速は意識しなかったけれど、指にかかって、感触がよかったので、そのくらい出ているかなと思いました」とはにかんだ。巨人・榑松スカウトディレクターは「スケールがあってバランスもいい。大きな体で変化球を起用に投げる。どんな投手に成長するのか楽しみ」と絶賛した。

 春夏10度目の全国制覇へ快勝発進。「下級生らしく日本一に貢献できるように頑張りたい」。横浜・織田、沖縄尚学・末吉、花巻東・古城はすでに敗退。山梨学院・菰田も左手首骨折で今後の出場は不透明となるなど、大会の“四天王”が苦しむ中で、また甲子園にスター候補が現れた。川本の剛腕がさらなる旋風を巻き起こす。(高柳 義人)

 ▼2年生3人目の春14K以上で完封勝利 大阪桐蔭の2年生・川本晴大が14奪三振で完封勝利。2年生投手のセンバツで2ケタ奪三振完封は、12年1回戦(対別府青山)の関東第一・中村祐太(13K)以来、14人目、17度目。大阪の2年生投手では、61年1回戦(対日大二・17K)、2回戦(対明星・10回、14K)と2試合連続で記録した浪商・尾崎行雄と、2人目。

また、14奪三振以上でマークしたのは、61年尾崎、72年1回戦(対花園・15K)の専大北上・畠山司に次ぎ、川本が3人目だ。

 ◆川本 晴大(かわもと・はると)

 ▽生まれとサイズ 2009年9月9日、埼玉・飯能市生まれ。16歳。血液型A。身長192センチ、体重95キロ。小6で178センチで高校入学時は190センチ。足のサイズは34センチ。

 ▽球歴 双柳小1年で野球を始め泉ホワイトイーグルスに所属。小6でライオンズジュニアに選出。飯能第一中では武蔵嵐山ボーイズと東京城南ボーイズでプレー。武蔵嵐山では2年春夏、全国大会に出場。中3夏にU―15日本代表に選ばれ第6回WBSC U―15W杯(コロンビア、井端監督)で世界一に。

大阪桐蔭では1年秋からベンチ入り。遠投100メートル、50メートル走・6秒9。左投左打。

 ▽野球一家 父・真大さんは埼玉栄でプレー。2歳年下の弟・結大は右投左打の投手で、小6でライオンズジュニア。現在は東京城南ボーイズに所属。

 ▽好きなもの チームは地元・西武、選手はOBのソフトバンク左腕・前田悠伍。食べ物はすし、ステーキ。タレントはお笑いコンビ・錦鯉。

 ▽癒やし系 捕手の藤田は「おっとりしていて柔らかいですね」、担任の西谷監督は「天真爛漫(らんまん)、明るい子」と表現。入学当初は関西弁とは違うイントネーションに「いじられたけれど、今は大丈夫です」。

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