◆第56回高松宮記念・G1(3月29日、中京競馬場・芝1200メートル)追い切り=3月25日、栗東トレセン

 ラストランが惜しまれるくらい、絶好の動きだった。ナムラクレア(牝7歳、栗東・長谷川浩大厩舎、父ミッキーアイル)は長谷川調教師とともに、朝一番の栗東・坂路へ。

ゴールが近づくに連れて回転数を上げると、最後も持ったままでパワフルに駆け上がった。時計は53秒0―11秒6で、ラスト1ハロンはこの日の最速。現役最後の追い切りを、完璧なデモで締めた。長谷川師は「非常に雰囲気が良かった。申し分ないと思います」と背中越しの感触をかみしめるように話した。

 前走の阪神Cは上がり最速の33秒2で追い込んだが、勝ち馬と競り合いの末、鼻差の2着。「離れたところから、びっくりするくらいの脚をみせた。長く脚を使ったぶん、負けた感じですね」と負けて強しの競馬だった。

 放牧を挟んで、2月22日から追い切りを開始。4日、11日、18日と3週続けて坂路で51秒台を連発しているように、密度の濃い調教を積んで、攻め抜いた。「タフなレースを経験したにも関わらず、気持ちが折れないのが最大の武器」と指揮官は評価する。7歳の春でも、全盛期と何ひとつ変わらず、いい状態で大舞台に臨める。

 高松宮記念は3年連続2着と、文字通りあと一歩の競馬が続いている。特に昨年のレース後は、しばらく言葉が出てこないほど、トレーナーは悔しがっていた。「何とか最後にいい結果を迎えたいですね。クレアと浜中騎手のレースを、温かく応援してもらえたら」。多くのファンの声援、そして厩舎と騎手の思いを乗せて、クレアは最後まで全力で走り切る。11回目のG1挑戦で、大団円を迎える準備はできている。(山下 優)

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