◆第56回高松宮記念・G1(3月29日、中京競馬場・芝1200メートル)追い切り=3月26日、栗東トレセン

 うなっていた。パンジャタワー(牡4歳、栗東・橋口慎介厩舎、父タワーオブロンドン)の最終追い切りは栗東・坂路を単走。

全体時計は55秒4と正直、全く目立たない。しかし、全く無理をすることなく、力強い脚取りで急勾配をグイグイと上がっていくラスト1ハロンのインパクトが強烈だった。涼しい顔で出した時計は11秒9。パンと張り詰めた馬体からも、力を出せる仕上がりが伝わった。

 「少し右に、もたれたり、手前を替えない面もありましたが、最後の1ハロンはさすがだなと思える動きでしたし、回転数を感じました」と松山弘平騎手は冷静に振り返った。今回は2月のサウジアラビア遠征から輸入検疫、着地検査を経て、栗東へ帰厩できたのが3月18日。翌19日に早くも1週前追い切りを行ったが、少し力みがあった。そこで22日にも栗東・坂路で51秒6―11秒9をマーク。「日曜(22日)にしっかりやってから、グンと上向いてきました」と橋口調教師は“スパイス”を利かせた調整を満足そうに説明した。

 貴重な経験が進化を生む。今春の中東だけではなく、昨秋は豪州遠征。橋口調教師は「行くたびに大人になっています。

体はよりスプリンターのようにしっかりしてきましたし、精神面でもオンとオフが利くようになってきました」と語る。ほぼ10日競馬となる今回の参戦も、サウジへの遠征前から決まっていたこと。心身両面でタフだからこそ組まれたローテだ。

 追い切り3本で仕上げる異例の調整過程になったが、トレーナーは言い切った。「しまいはいい動きでしたし、力を出せる状態にあると思います」。G1参戦は3歳マイル王に輝いた昨年のNHKマイルC以来。成長を遂げた姿で大一番へ打って出る。(山本 武志)

編集部おすすめ