◆第56回高松宮記念・G1(3月29日、中京競馬場・芝1200メートル)=3月28日、栗東トレセン

 約5年9か月も走り続けた場所に別れを告げた。ナムラクレア(牝7歳、栗東・長谷川浩大厩舎、父ミッキーアイル)はレース前日、栗東・坂路を単走でキャンター。

65秒5―15秒9を出した。「穏やかで変わりなくきています」と長谷川調教師。今回がラストランのため、この日で栗東での調教も終わりだ。「乗り手の方が緊張していたんじゃないかな」と笑顔。自然体が万全の仕上がりを伝えているようだった。

 2021歳の小倉2歳Sを勝つなど早くから一線級で走り、牝馬ながらも7歳まで現役。「僕らの競馬人生の中で、なかなか出会わない。ここまで密度の濃い競馬を続けてこられたのは、馬の成長力と才能。気持ちが全く折れないというのは、人間でも見習わないといけない」と最大級の賛辞を贈る。

 強い思いを胸に秘めた1年だった。昨年の高松宮記念直前。クレアの他にもナムラクララやナムラアトムなど多くのオープン馬を出産した母親のサンクイーン2が今、1歳になった全弟を出産後に死んだ。

「(クレアを)無事に牧場へ戻す。この1年間は責任感を強く感じていました。このきょうだいに携わるものとしての使命ですね」。何より無事に安全に、かつ悲願のG1タイトルを狙う日々。この中間は坂路2本乗りを行うなど守りに入らず、丁寧なケアを続けながら、ラストチャンスへ備えてきた。

 長かった1年が、そしてクレアと過ごした5年9か月の日々がもうすぐ終わる。鞍上にも苦楽をともにしてきた浜中俊騎手=栗東・フリー=が戻ってきた。「これで負けたら仕方ない、というぐらいの感じなっています」とトレーナー。究極の仕上げを施し、愛馬を笑顔で送り出すつもりだ。

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