◆米大リーグ ブルージェイズ3x―2アスレチックス(27日、カナダ・トロント=ロジャーズセンター)

 ブルージェイズの岡本和真内野手(29)が27日(日本時間28日)、自身のメジャー開幕戦で初安打を含め2安打3出塁と鮮烈デビューを飾った。アスレチックス戦に「7番・三塁」で先発すると、7回1死で左前打を放ち、メジャー初安打。

同点の9回2死では右前安打で出塁し、その後サヨナラ勝ちの生還を果たした。三塁の守備でも好プレーを披露するなど、攻守で勝利に貢献。新たな舞台で好スタートを切った。

 格別の瞬間だった。サヨナラのホームを駆け抜けた岡本の顔が自然とほころんだ。同点の9回2死から右前安打で出塁して、劇的勝利に貢献。一、二塁間付近にできた歓喜の輪に加わり、喜びを分かちあった。「何よりも勝てたことが良かった。その中で塁に出ることもできた」。新天地での初戦。チームの力になれたことがうれしかった。

 巨人から移籍した1年目の開幕戦。

「緊張もしていた」。観客が総立ちとなった2回2死の初打席は三振に倒れたが、動じない。5回1死で四球で初出塁すると、待望の瞬間が7回1死で訪れる。追い込まれてからの3球目。外角のボール気味のスライダーに泳いだ。それでも左手一本で左前に運んだ。3打席目でメジャー初安打。あまたの修羅場をくぐり抜けてきた男に初々しい安堵(あんど)が広がった。

 待ちわびた舞台だった。「ここ(メジャー)でプレーしようとやってきた」。長年、巨人でチームを支えながら、思いも秘めていた。少年時代に衝撃に受けた一人はメジャーで三冠王を獲得したミゲル・カブレラ。

「足をスッと上げて振ったら、すごい打球が飛んでいくんで」。同じ右の強打者に憧れた。プロ入り後も「この人のここがいいなってなったらみる」と、多くのメジャーリーガーも研究対象にしながら鍛錬を積んできた。

 その向上心を胸に体に染み込むまでやってきたから、土壇場でも自分を信じられる。「(打撃は)左足を上げたら、終わり。それだけ」。打撃理論はシンプルで深い。「あとは自分が人生で何万回もスイングしているから勝手に体が反応する」。初対戦の動く剛速球やピッチクロック。そんな新たな壁にも負けず結果を残した。

 会心のスタートが切れたのは孤独な挑戦ではなかったからでもある。ナインが温かく迎え入れてくれた。

その一人が3番打者を務め、チームの顔であるゲレロだった。グラウンドでは合流当初から野球談義。移動の飛行機で座る席に迷うとすぐに場所を教えてくれる。「すごく気にかけてくれる。感謝してます」。試合後はゲレロから手荒くスポーツドリンクをかけられ、笑った。

 三塁の守備では3回1死で三塁線寄りのボテボテのゴロに、三遊間の位置から猛チャージ。ランニングスローでアウトにする好プレーを見せた。シュナイダー監督は「優れた打者。守備も良かった」と称賛。試合前には昨季の優勝を祝うセレモニーに参加しており「チャンピオンになってセレモニーをしたいな、と。本当にいいチームに来た」と実感を込めた岡本。

トロントで始まった新たな挑戦は最高のかたちで幕を開けた。 (宮内 孝太)

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