◆JERAセ・リーグ 中日2―5巨人(31日・バンテリンドーム)

 巨人が逆転勝ちで連敗を2で止めた。6回に2点差を追いつくと、9回2死満塁から代打・丸佳浩外野手(36)が右越えに走者一掃のV二塁打。

勝率を5割に戻した。来日初先発の新外国人、フォレスト・ウィットリー投手(28)は白星こそつかなかったが5回6安打2失点でゲームメイク。開幕から4試合の先発投手がいずれも新加入となったのは球団初となった。9回、今季初登板の大勢投手(26)がセーブを挙げた。

 思わず、ガッツポーズが出た。惜しくもタッチアウトとなった三塁からベンチに戻る丸の視線の先。飛び出したナインが総出で両手を高々と掲げていた。顔をくしゃくしゃにした丸のヘルメットを、坂本が中山がたたいて祝福する。ヒーローは「うれしかった。若い選手は何人かバカにしてましたけど、何とかチームの役に立てて良かった」。今季初安打が、値千金の決勝3点二塁打。ひと振りで緊迫した試合にケリをつけた。

 土壇場で、とっておきの切り札が残っていた。2―2の9回2死満塁。阿部監督からしびれる場面を託された。「打つだけのシチュエーション。開き直って打つしかないんで」と3球目の高め143キロ直球を振り抜いた打球は、右翼・カリステが差し出したグラブの先を抜けた。指揮官は「本当に最高の仕事をしてくれました」と、勝負どころに備えて神経を研ぎ澄ませたベテランに、最大級の賛辞を贈った。

 プロ19年目、36歳の肉体は衰えを知らない。昨年10月12日、CS第1ステージ第2戦でDeNAに敗退した直後だった。シーズン終了で誰もが家路に就く中で向かったのは、横浜スタジアムのウェートルーム。激闘の疲労が残る中で、デッドリフトで自己ベストを更新する240キロを持ち上げた。「食欲はおじさんになっても全然、落ちないんだよね」と“大食漢”ぶりも変わらず、朝食だけで「サトウの切り餅」24個パックをぺろりと平らげる。

 年を重ねても変わらないやんちゃ心は、こんなところにも表れた。

東京Dで「肉の祭典 とことん!豪快丸」(1900円)をプロデュース。「緑は絶対入れないでくださいと伝えた」と野菜ゼロの肉づくしの一品が完成した。「何かにトガっていかないと、売れないじゃないですか。全部の人に受けるのってなかなか難しいんで、ターゲット層を絞って全力を投下していく方針なんで」。ベテランになっても“丸”くならないメンタルこそが、衰えない闘争心の源なのかもしれない。

 今季初のHランプが通算1930安打目。巨人加入8年目で初めて代打の切り札として開幕を迎えた背番号8は「逆に開き直るしかないところもあるので。あまり難しく考えないようにしてます。目の前の試合をチーム一丸で戦っていきたい」。頼れる男が、大きな1勝をもたらした。(内田 拓希)

 ◆丸に聞く

 ―3球直球が続いたが狙っていたのか。

 「藤嶋くんの真っすぐはすごい質がいい。

彼も自信を持ってる球だと思う。しっかりそれをひと振りで前に飛ばせたのはよかった」

 ―シーズンの早い段階で一本出て気持ちも楽になったか。

 「形はどうであれ、Hマークがつくのは、僕たちバッターからすると何よりの精神安定剤。一本出たからもういいやとはならないですけど、引き続き気を引き締めていければ」

 ―長野が抜けて広い視野で見る人が必要と言っていた。

 「試合出ない時は展開を見ながらそういう会話とかを一番しやすい。でも若い選手は僕に対してリスペクトがないんで、真面目な話はそこまでできてないです(笑)」

 ―メジャーで菅野と岡本が初対戦。

 「いち野球ファンとしてすごいワクワクさせてもらえている。今まで野球を一緒にやってた選手がああやってメジャーリーグという最高の舞台でプレーしてるのを見ると、元気をもらえますね」

堀内恒夫Point】 真ん中高めの真っすぐ。バットが一番出るところで、あの球なら誰でも打つと思うけれど、それを逃さない。さすが丸ですよ。3つの四球でできた満塁のチャンス。6回には押し出しもあったし、カウント1―1から、ストライクを取りにくると読み切ってのスイング。

ベテランらしい一打だったね。(スポーツ報知評論家・堀内 恒夫)

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