2024年パリ五輪レスリング女子57キロ級金メダルの桜井つぐみ(24)=育英大助手=が3日、高知県庁で「競技者としては一区切りつける」と述べ、現役引退を表明した。今後は地元の同県香南市に設立するレスリング教室の監督を務め、後進の指導に当たる。

 パリ五輪では、五輪4連覇の伊調馨、2連覇の川井(現姓・金城)梨紗子が築いてきた栄光の中量級の歴史をつないだ。パリ五輪の国内選考では金城らを破り、代表の座をつかみ、高知勢では92年ぶり、女子初の金メダリストとなった。

 レスリングを始めたのは3歳の時。父・優史さんがつくった高知レスリングクラブの1期生として始めた。最初はボール遊びや鬼ごっこで体を動かしていたが、次第に本格化。小学校では自宅の6畳の和室にスポンジのマットを並べ、帰宅後も約1時間、反復練習した。父の運転する車で全国へ出稽古にも行った。五輪3連覇の吉田沙保里さんと練習する機会に恵まれ、「こういう人になりたい」と五輪を明確にイメージした。

 全国中学選手権を3連覇するなど順調だったが、高校で伸び悩んだ。高知南高の教員だった父とは学校、部活、家庭でも一緒。反発から素直に指導を聞き入れられず、練習にも身が入らなくなった。2年の時、父の友人の柳川美麿監督が育英大にレスリング部を創部したと知り、練習に参加した。

高知では難しかった大学生の女子選手との練習に「すごく楽しかった」と刺激を受けた。

 毎週末、金曜夜に高知から夜行バスに乗り、11時間かけて東京・新宿に到着。在来線で群馬・高崎に移動して土日の練習に参加し、月曜朝に高知に戻って学校に直行した。3年時は年間100日に及んだが、長距離移動の疲労よりも「ここなら強くなれる」との喜びが勝った。卒業後は育英大に進学。マットの上だけで約5時間の厳しい練習に励んだ。

 

 ◆高知勢の五輪金メダル 2024年パリ五輪を迎える時点では、1932年ロサンゼルス大会で競泳男子1500メートル自由形の北村久寿雄と同800メートルリレーの横山隆志の2人のみだった。北村は14歳309日での金メダル獲得で、現在も日本男子最年少記録となっている。

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