◆第108回全国高校野球群馬大会▽1回戦伊勢崎工9―3渋川工(4日・上毛新聞敷島球場)

 第108回全国高校野球群馬大会が4日開幕し、開幕戦となった渋川工―伊勢崎工の試合は9―3で伊勢崎工が勝利した。

 渋川工の「6番・二塁」で先発出場した清水岳多(がくと)内野手(3年)は、国指定の難病「再生不良性貧血」を乗り越えて最後の夏に臨んだ。

結果は4打数無安打。チームも敗れたが「最後まで自分のプレーができたので悔いはない」とすがすがしい表情で汗をぬぐった。

 待ち望んでいた一戦だった。小学3年時に再生不良性貧血と診断され、一度は寛解状態になるも中学2年時に再発。「野球を続けるために」と骨髄移植を行い、約9か月にわたる入院生活も経験し、投薬によって骨がもろくなる影響も出ていた。高校入学にあたり主治医に硬式野球部への入部可否を確認したところ、「前例がないから何ともいえない」と伝えられたという。

 それでも、もう一度グラウンドに立ちたいという思いが消えることはなかった。「前例がないなら作ればいい」と入部を決断。1年夏に1年8か月ぶりに実戦復帰するなど着実にステップを踏んできた。今でも毎日7種類の薬を服用し、1か月に1度、通院するなど治療は続いている。病と向き合いながら積み重ねてきた技術を全身で表現した。

 「ここで試合をやるために(病気を)治した。

負けてしまったけれど、最後まで楽しくプレーできた。今までやってきて良かった」。最後まで清水岳に涙はなかった。闘病を近くで見守ってきた母・安子さん(47)も「この日を迎えられて、うれしい気持ちが一番大きい」と笑顔で息子のプレーに歓声を送った。

 濃密な3年間を終えて、今後は自身の夢を追う。「自動車が好きなので、専門学校に行くんです。今は野球を続けることは考えていなくて、誘われたらやろうかなって。草野球とかで続けることができたら」と清水岳。がむしゃらに白球を追った日々に一区切りをつけて、自分にしか描けない物語を力強く歩んでいく。

◆再生不良性貧血とは 血液中の細胞を生み出す造血幹細胞が減少し、赤血球、白血球、血小板が減少してしまう病気。酸素を運搬する赤血球の減少なら酸素欠乏によるめまいや頭痛、細菌を殺し、ウイルス感染を防ぐ役割のある白血球の減少なら細菌感染症になりやすくなるなど、それぞれの血球減少による症状がある。国の定める「指定難病」の一つで、日本での罹患数は年間約1000人と言われている。

骨髄移植は有効な治療とされているが、患者とドナーの免疫組織の型が適合しなければ移植できない。

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